前情報ほとんどなしで「きみの色」見てきたのですが、あまりにも好みすぎて良すぎてひっくり返ってしまった。という感想というか呻きです。ネタバレ大前提なのでご注意を…なんっも配慮できてないので…本当にご注意を…
実は、見終わった後の気持ちがあまりにも柔らかく、ふわふわと頼りなく、ぽかぽかと暖かかったので、その気持ちを言葉という乱暴な道具で自分の伝えやすい形に切り分け、整えるのがものすごく抵抗あるんですが。
そこで言葉にしない分別や理性を持てていたら、そもそも物書きなんてやっておらぬ。ということで、総じて滅茶苦茶良かったですね!!!以下箇条書きスタイルだ!!
・全部見終わってからタイトルの秀逸さにため息がもれた。ダブルミーニングが極まっている。
「きみちゃんの色」であり、「ルイくんの色」であり、「トツコちゃんから見たみんなの色」であり、「トツコちゃん自身の色」であり、「私たちみんなの色」。
こーれはよく晴れた日に太陽に手を透かしたくなるお話だ。大変よかった。本当に感じ入った。
・「水金地火木土天アーメン」天才の発想なんだよなぁ。
映画館でてからも脳裏からフレーズが離れなくてもーー駄目ですね。CDはまだでしょうか。せめて曲のアップロードは。しろねこ堂の皆様…!
・しっかし初手から平安の祈りをぶっこまれるとは思わなんだ。思わず心の中で「しっぶ!」と叫んでしまったよ。や、私が知っている平安の祈りとはちょっとちがう(名前が違うし、順番?とやらも違う。内容は変わらない)ので、出典も異なりそうですが、それにしても驚いた。
・なんというか、世界観?というか、世界の切り取りかた?物語の描きかた?が、ものすごく肌なじみが良いお話で感動と驚愕が交互にきてます。
表現が難しいな。なんだろう。「何が起こって、どう思っているか」の描写が必要十分な感覚がある。これ以上細かく描写されたら、分かりやすさは増すだろうが、人の生きざまを盗み見ている自分への居た堪れなさも増すだろうという、ギリギリを写し撮ってくれている感覚…?
例えば、トツコちゃんときみちゃんの修学旅行お泊まり発覚の、理由だけ描いてあるていど飛ばして結果をチラ見せする(会議があって処分が決まって、落ち着いて受け入れてくれるトツコちゃんのお母さんとのやり取りがある)ところとか。
最後のステージで、みんながノリノリで、踊りだして、舞台を注目しているなかで、ヒヨコ先生だけがひと足早くステージを出て、かつてのトツコちゃんのようにくるりんと踊ってみせるところとか。
過剰な説明はせずとも描いてくれるのが、なんだろうな、「キャラクターを描いた」というよりも「登場人物の生活を(愛を込めて)切り取った」みたいな印象を受けて、それがとても心地よかったです。キャラクターを描くのが悪いって言いたいわけじゃないんだけど。うーん適切な語彙が出てこない。
・三原色トリオ、大好きになってしまいましたね。みんなそれぞれに大好きで、三人そろうといっぱいしゅき。これは箱推し。
今しか会えない三人だったのは承知しているが、それでも、どうかこの先も三人が「好きと秘密」を共有し合える付き合いでありますようにと、祈らずにはおれない。最後の声が割れるほどの「がんばってー!!」で胸がいっぱいになってしまった。変わらないまま、あるいは変わったとしても笑い合える三人で、またすぐにあってほしいなぁ。
鮮やかな青色(きみちゃん)に惹かれて、追っかけて探して、ようやく見つけた先には柔らかな緑色(ルイくん)もいて、これはバンド組むしかない!!と勢いあまるトツコちゃん、分かりみが深い。
そして、なんとなーく心に残っていた気持ちを伝えて、ジゼルを踊らせてくれたふたりと一緒にいる自分は赤色だったんだ!と、今度はひとりで踊りながら気付く流れがとてもきれいで眩しくて、たまらない気持ちになってしまった。
トツコちゃん、バレエを楽しそうに踊っていて、お姉さんが踊る姿も楽しそうに見ていたので、もともと大好きだったと思うんですけども。楽しそうなだけに、ひとりだけ、おそらく基礎的な動きでみんなよりもワンテンポ遅れているのが、とても切なかったので。
トツコちゃんひとりのためにルイくんときみちゃんが伴奏をしたってのが、昔のトツコちゃんに、今のトツコちゃんの友だちが追いついた印象でグッときましたね。ジゼルは死装束で踊る演目ってのも深読みできて良い…。
・ヒヨコ先生いいなぁこの人…と思っていたらまさかのいろんな意味で先輩だったことが判明してフフッとなってしまった。宗教や教育という堅苦しいものを、思春期の若者へ丁寧に翻訳していて、まあ大好きですよねこういう人。チラシを配りに来て本の森に迷い込んでしまうの、気持ちすごくわかります先生。最後のターン、お花が咲いたようで素敵でしたよ先生。
・学校の先生方や、それぞれの保護者の皆さんといった大人の面々が、良い人(なんだけど子どもからするとね〜〜ちょっとね〜〜)なの、解像度が高く、昔を思い出して懐かしくなるなどもした。
あちらにはあちらの道理があるし、自分を心配してくれてるってわかっていても、でも、と言いたくなるんだよなぁ。そして、その「でも」は、自分にとってはどうにも無視できない切実な「でも」なんだよなぁ、と。
まーもーとっくに子どもの時期を卒業してそこそこ以上の時間大人やってる自分が、気安くわかるわ〜なんて言いたくないとも思うんですがね!!
そしてだからこそ、その大人な方々が、最後のステージでノリノリで体揺らしたり、音楽に合わせて動いたり、踊ったりしてるのがまた可愛らしかったです。一部「天使にラブソングを」始まってる先生方もいたのは笑ったけどな!
というか三人のそれぞれのオリジナル曲良すぎて、歌詞と照らし合わせながらゆっくり聴きたいんですけども音源はどちらにありますか。
・題名に「色」と銘打つ気合の入れ具合だけあって、始終画面が美しかったのが感動しました。
きみちゃんやルイくん、森の三人娘たちとの楽しいときの、鮮やかで華やかで暖かい色味はもちろん、教会の優しい色味なのにどこか緊張感のある引き締まった色味とか、合宿時の落ち着いて暗いけどもこの上なく柔らかな色味とか、夜明けの真っ白に薄い色味がぼんやりとけている色味とか。というか三原色トリオが好きと秘密を共有した翌朝に、世界が三色を混ぜた白になって、かつて白猫に誘われてやって来たしろねこ堂をバンド名にする流れ繋がっていくの、あまりにきれいで感動してしまった。
・猫ちゃんが最高にかわいい。
猫ちゃんが、最高に、かわいい。
・音楽もすっっっごい良かったですね…!
コーラスとか聖歌とかパイプオルガンとかが当たりまえのように、他のギターやピアノと同じように使われているのもとてもよかった。
あと!!!!テルミン!!!!
あのほわっほわしたなんとも言えないにょわーんとした音、大好きなんですけども!!!!
浅学にしてこういう、音楽を中心にした内容で、テルミンがメイン張ってる映画は初めてだったので大変興奮してしまいましたね!!!!!すげぇよかった!!!!!
・エンドロール、胸がいっぱいで満足感(猫ちゃんへのそれぞれの接しかたが性格表してて大好き)と、かなりの寂しさがあったので、エンドロール後に三原色トリオのわちゃわちゃが見られたの本当に沁みた。合宿のあたりからきみちゃんが、歯を見せてにへらって笑顔を見せてくれてたのとても嬉しかったので、本当に沁みた。
あと、淡くて切なくて寂しくてキラキラする気持ち全部を「がんばれ」に込めたきみちゃんを、トツコちゃんがぎゅーっと抱きしめたんだなってのが、ほんとうに…良くて…トツコちゃん、最初っからきみちゃんのこと大好きなのが伝わってきていたので、本当に…。
鮮やかな青が見られたらボールぶつけられちゃったことすらも嬉しくなっちゃうくらい憧れていて、会えなくなってしまったらあんなにきれいな世界が一気にしぼんでしまうくらい悲しくて、大事に、大切にしたい相手なんですよね。最後のぎゅー、思わずほろりと来てしまったよ。
エンドロール時点では拮抗していた寂しさを、大切な秘密の居場所を胸にそれぞれの道を選べたみんなを見届けた満足感が上回ってくれたので、本当に最高でした。すごく…!よかった…!!
・ところで水金地火木土天アーメンはどこで聞けますか????????