禍話「例の女」の概要というか「どんな話なん?」というのを軽く書き起こしたので、ドラマ始まるし気になる方はどうぞ(ただしやって来る可能性あるので自己責任で)
詳細は追記に続きます。
禍話「例の女」
【ことの始まり】
話し手のかぁなっきさんが小学生の頃の話だ。
廃墟になった一軒家を探検しようとK君というガキ大将的な存在の彼が言った。マンモス団地で集まったメンバー及び、違う地区の友達も引っ張ってきての大所帯だ。
みんなあまり乗り気ではなかったものの、ガキ大将の彼が言うものだから……と仕方なくついくていく。と、言っても所詮は小学生である。草が生い茂る家の外周をぐるぐる回るだけで終わった。
かのように思えた。
家具は残っているその廃屋で、最年少の少年が言った。
「勉強部屋にお姉ちゃんがいるよ」
聞くと制服を着て勉強部屋で勉強をしているとの事。その為、幼い彼は「お姉ちゃん」という表現をしたのだろう。
そこで全員がこぞって勉強部屋を覗きに行く。
かぁなっき少年も一緒に行ったものの、先に陣取った五、六年生に阻まれて中が見えない。
しかしみんなこぞって言う。
「いるいる!」
見れないジレンマの為か、かぁなっき少年は問う。
「(中で)何してるの?」
「……勉強してる」
聞くと、髪の長いセーラー服を着た女の子が机に向かって勉強をしているそうだ。
覗いている小学生の数は多い。
こんなに騒いでいるのにその少女はなんの反応も示さなかった。
その異様な雰囲気に、騒いでた小学生たちも段々と「怖い……」となってきてそのままみんな沈黙してしまい、その日は解散となってしまった。
それから一週間もしないうちに、かぁなっき少年はK君と道ですれ違った。
ガキ大将的な彼なので、必ず挨拶しなければめんどくさい。だから声をかけようとした。
しかしどうにも彼の様子がおかしい。
目が虚ろでぶつぶつ何かを言っている。
更に右膝をカサブタの痕を剥がすかのように何度も引っ掻いて血だらけになっている。血の量は本当にボトボトと流れており、サンダルからアスファルトへかけて流れる程だった。
しかし、K君はただただ歩いている。
血を流しながら。
結局、かぁなっき少年は不気味に感じながらもそのまま彼を見送ってしまった。
それから二、三日もしないうちにK君の家で騒動があった。
曰く、K君は、二階にある自分の部屋へ「家の外から」入ろうとしていたそうだ。
しかし自分の部屋には届かず、中途半端な位置で降りれなくなった本人は泣きわめくし家族も近所の人も含め大騒ぎになった。しまいには警官らしき人まで来たという事だ。
その後、彼は転校してしまった。
どこに転校したかも分からない。
「今思い出したんだけどさ……この時一緒に見に行った奴ら全員なにがしかで離れていって、結局今どこで何してるか知ってる奴一人もいないんだよね……」
と、かぁなっきさんは語った。
【再会】
大学生になったかぁなっきさんは某映画にハマっていた。と言っても映画公開前に出されたオリジナルビデオ版の方である。
さぁ、映画公開だ! と楽しみに見に行ったものの……クリーチャーの登場の仕方がオリジナルビデオ版と全く同じだった為、とてもガッカリしてしまった。
そうしてその映画を見た仲間内でこう盛り上がる。
「お前なら有名ホラー映画を超える話が書けんじゃないの!」
かぁなっき青年もまんざらでもなく、若気の至りもあり「そうだよな! 俺書くわ! 一軒家舞台にその家が呪われてるってやつ書く!」
そしてかぁなっき青年は意気揚々と書き始めるのだった。
タイトルを決める前、
「かっこつけたいかにもな名前もあれだし、『人の名前』にするか……」
彼は「どこにでもいるような女の子の名前」をタイトルにしたそうだ。
設定も決めた。小学生の頃に見たあの「お姉さん」のイメージが抜けていなかったかぁなっき青年は、それを元に話を膨らませたのだ。
「彼女は少し引きこもりがちで、優秀な姉といつも比べられ、ついにプツンと糸が切れ……家族を惨殺した」
そんな設定のある呪われた家の話にしようと思ったのだ。
そして、
いろんなバラエティにとんだ手段で人を驚かしたり、命を奪ったりする悪霊なんだ。
という事も決めた。
冒頭の部分も四ページ程で書き終わり、「これは怖いぞ……ホラー大賞狙えるかもしれん……」と気分は高揚する。
そんな気分のまま「よし! 賞をとる前祝いだ!」と、いかにもな大学生のノリで仲間を集めて自宅で飲み会を始めた。
盛り上がってる最中にタイトルを聞かれる。
「やっぱり某映画みたいなタイトルなの?」
「違う違う、人の名前(女性名)を題名にしたんだよ」
「へぇ、そうなんだ……それって『 』?」
当たった。
なんのヒントも出してないのにいきなり当てられてしまった。
かぁなっき青年は勿論のこと、当てた方もとても驚いている。
酒盛りの場も一気にシーンと静まり返った。
「なんで……わかったの?」
と、尋ねると、
「頭の中に浮かんだ……」
と、答えた友人は返した。
四、五人いたメンバー全員がゾッとしたのは言うまでもない。
しかし書くと決めたからには書く。
この時はまだその気概が残っていた。
かぁなっき青年は小説のプロットを固めだした。
要約するとこうだ、
「人に応じて(悪霊の)出る出方が違う」
そして、ラストも決めた。
「これはこの距離感のまま、ずっと続いていく関係なんだと主人公が実感する」
と。
さて、本文も本格的に取り組み始めた夏の日。
クーラーが苦手なかぁなっき青年はチェーンだけしてドアを開けてダンベルを挟んで涼を凌いでいた。
すると、
外廊下で凄い話し声がする。
耳をすましてみると、どうらやら男女の痴話喧嘩の様だ。ただ、おかしいのはその喋り方に「一切の抑揚がない」事である。
寝ぼけていた事もあり最初は「うるさいな」程度だったのだが、どう考えても「自分の部屋の真ん前」で話している。体感では近所の住人が起き出してもおかしくない程の声量で喧嘩をしている。
やめておけばいいものを、その時は腹が立っていたせいもあって玄関まで覗きに行ってしまった。
開けようとした瞬間、
ドアが開かない。
チェーンは外してある。
しかし開かない。
「え?」
と思ってる間に、男女の話し声はピタリ、と止んでいた。
どういう事だ? 仕方なくいくらか開いたドアの隙間から廊下へと顔を滑り込ませる。
すると、つっかえていたものが目に飛び込んできた。
セーラー服を着た少女が、体育座りでドアの前に座っていたのだ。
彼女は背中をドアにピッタリとくっつけており、その状態でドアが少し開くのもおかしい。
全てを悟った瞬間、あまりにの怖さに鍵とチェーンをかけ、かぁなっき青年は失神に近い形で眠りに落ちた。
翌朝、あれは夢だったのかな……と玄関の方に行くと、いつも揃えてある履物がぐちゃぐちゃになっている。
やだなー、と思いながら玄関横の灯りをつけた。
あれ?
なんだか変な感じがする。
見てみると……スイッチのところが血だらけになっていた。爪が全部剥がれた人が触ったような……そんな血痕だ。
かぁなっき青年は慌ててそれをウェットティッシュで拭き取った後、漠然とこう思った。
あれ? 怖いぞ?
そう、まるで自分が「今書いてる小説の登場人物」になってしまったかの様な感じさえ受ける。
しかしこの時は「いやそれでもまさか……」と思い込む事にしたのだった。
【決定打】
夏も終わり、ようやくドアを開けて過ごさなくてもよくなってきた秋の初め頃。
かぁなっき青年は気分転換にベッドではなく床に布団を敷いて寝ていた。
すると、
凄いモーター音が聞こえてくる。
外に出ると、マンション中に響くような轟音のモーター音がしている。
「エレベーターがおかしくなったのかな? ちょっと調べて大家さんに言うか……」
そしてエレベーターに乗るかぁなっき青年。エレベーターは最上階まで上がって行った。
最上階の管理室は真っ暗だった。
点灯のスイッチもバカになっているのかてんで点かない。ただひたすらの闇だ。携帯で照らせどたかが知れている。
しかし、ここで気付いた事がある。
モーター音はここからしていない。
エレベーターの管理室がおかしくなったのでは、と勘ぐっていたのに……ここは無音なのである。
それでも、相変わらず外からはモーター音はする。
ド深夜でイラついていた事もあり、かぁなっき青年は一旦自室に戻ると大きな懐中電灯を装備して、再び音の正体を確認しに非常階段へと向かった。
非常階段は住人スペースの所は覆いが出来ており、そこに行くと真っ暗になる。
階段を登っては制御室らしきドアのドアノブを回すが、当然ながら開かない。
登ってはドアノブを回すを繰り返しているうちに、覆いのある真っ暗なスペースもあって、段々と自分が何階にいるのか分からなくなっていった。
と、足元を照らしてみた。
すると……自分の前を先行してる人物がいる。靴跡がある。
「あれ……おかしい、ぞ?」
段々と我に帰ってきたかぁなっき青年はハタと気付く。
先行している靴跡が戻ってきていない。しかもその靴跡……どう見ても学生の履いてる上履きのようなものである。
嫌な予感がして、数歩先にある踊り場を照らしてみた。
そこには、足が出ていた。
かぁなっき青年が、小学生の時に少しだけ見えたあの隙間にあった足と同じ足が……見えたのだ。
姿勢としては体育座りをしている。その足には、上履き。
あまりにも恐ろしくなって、そのまま自分の部屋へと戻った彼は気付く。
モーター音がしない。
そこから恐怖は最高潮に達し、大量の酒を煽るとアルコールにまかせて眠ってしまった。
夕方の4時頃に目が覚めたかぁなっき青年は、それでも一応……と、大家さんにエレベーターの話を持ちかけた。
すると大家さんはこう言うのだ。
「エレベーター? エレベーターなら『今日』点検きてもらったけど『何も無かった』よ?」
と。
それを聞いてから、かぁなっき青年は自室へ戻り、書いていた小説を全て削除したのだった。
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他にもかぁなっきさんの夢に現れたり、自室のノーパソを覗いてる2mもする女がかぁなっきさんや加藤さんのお部屋に現れたり、いろんな逸話がある「例の女」ちゃんですが……。
とりあえずの入りはこんな感じです。少しでも伝わっていましたら幸い。
多分読んだり聞いたりしてる分には大丈夫らしいんですが、どうにもマイペースな「例の女」ちゃん。現れたりするのが遅効性らしいです。
今はいよいよテレビドラマで扱われる事になったからそっちの方に忙しいのかなーとのんびり構えてる次第。
ドラマスタッフさんや演じられた女優さんに何も無ければいいですけどね……まあ、危害という危害は……ない、と言えばないのかな……どうなんだろ。
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ここから聞けます(45分あたりから)
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燈魂百物語 最終夜(閲覧少々注意)
http://twitcasting.tv/magabanasi/movie/350334141
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