HoYoFairで流れたカーヴェの曲"Writing on the Wall"が好きすぎて和訳しました 全旅人聞いてくれ
An unofficial JP translation of "Writing on the Wall"
こちらはHoYoFair2023にて公開された楽曲”Writing on the Wall”の非公式日本語訳です
This is an unofficial Japanese translation of "Writing on the Wall" which was released at HoYoFair2023
【逐語訳と意訳の中間点からちょっとだけ意訳の方へ跳んだくらいの訳です】
【最下部にちょっとした補足があります】
金銀の宮殿[パレス]は一夜にして成らず
よく聞かされてきた言葉のようだ
「たとえどれほどの犠牲を払うことになっても、正しいことをするように」
いつも丁寧であるように いつも勤勉であるように
どんな細部に至っても綿密に、精巧に
創作とは描いて、消して、
そしてまた描くようなものだから
名声や注目なんて得たことは無いけれど
僕はただ、作品が崩れないためだけに努力するんだ
そうして出来上がったものを見ることは、どんなに多くのモラより価値があるから
心込めた作品の中に、建築家は生きている
輝かしい塗料と大理石の心
それが芸術を芸術たらしめるんだ
僕らは建て、心遊ばせながら
粘土を彫り、夢を刻み出す
僕らの塔が崩れませんように
壁のしるし[不幸の予兆]を見ることがありませんように
努力を重ねるほど、リスクは大きくなる
涙の海も深くなる
たったひとつの間違いが
全てを崩れ落としてしまうから
僕をあざ笑う頭の中の声も
僕を消耗させる呪いの言葉も
聞こえないふりを
耳を塞いで、図形と線に集中するんだ…
非現実的な図面は何も生み出せず
ただの紙の上の影に過ぎない
なにも語り掛けてはこない
ただ気のせい、気のせいだと思うんだけど、
僕に何かを暗示しているような…
心込めた作品の中に、建築家が残り続ける
ひび割れた塗装と重たい心
それが芸術を芸術たらしめるんだ…
僕らは叫び、祈りながら
粘土を彫り、夢を刻みだす
壁の殴り書きを見ないように
その凶兆を見ないように…
[間奏]
僕らは日々 博打のような毎日を生きて、
遅れないよう必死に足を動かして、
理想を描いたはずの絵が
ばらばらになるのを見ている こと しか
僕らが歩いた道は もうどこにも続かない
でもただの芸術家には どうすることもできない
心のままに絵筆を取ったのなら、
それに従わなければ…
心込めた作品の中に、建築家は囚われ続ける
描く度に心が血を流し 傷ついてゆくけれど
それが芸術というものなんだから、…
僕はきっとこれからもあがくんだろう
だけど「正しいこと」というのは、ひどく痛むんだ
そして、たとえ正しくあり続けたとしても
終わるときには きっと運命からは逃げられない、
壁には、あの 凶兆が……
※”Writing on the Wall”は旧約聖書(ダニエル書5章)に由来することわざで、「破滅のしるし」を意味します。
簡単に説明すると、
「王宮で饗宴がひらかれている最中、突然人間の手があらわれた。手は壁に、誰にも読めない文字を書いた。その夜、王は殺され、王国は他の民族の手に渡った。」
というものです。「ベルシャザールの饗宴」と呼ばれ、ちょうどスメールのモデルのひとつであるペルシア地域で起こったこととされています。この故事により、”Writing on the Wall”は「破滅や崩壊を予感させるもの」を、そして”Writing on the Wallを読める”ということは「避けられないであろう破滅の運命を察する」という意味を持つようになりました。
この楽曲に置いて、カーヴェは「壁の凶兆」を認識し、そこから目を逸らそうとしています。つまりカーヴェには「Writing on the Wallが見えている」ということになります……
・蛇足
「永遠」を建造しようとしている・モチーフカラーが赤である・鑠石の丘に惹かれがち・瞳がキャンディス(キングデシェレトの末裔)と似ている 等の点から、「カーヴェってキングデシェレトの同位体のような存在じゃないの?」という考察が存在します。「現在は砂漠となっている地域。強大な王権は地に落ち、王は死んだ。栄えていた国は亡びた」というのを考えると、言葉選びがすごい……