映画刀剣乱舞5周目にして三日月宗近の思考回路にやっと納得がいった。つい三日月を完璧だと思ってしまうし全てを知ってると思ってしまってた。
けどあれは三日月宗近の失敗の物語なんだ。
どのくらいかと言うと序伝の山姥切国広くらい
昨日のレイトショーから寝るまでに殴り書いたやつざっくりまとめ。
鈴木拡樹様の演技の説得力と頼り甲斐が勘違いに拍車をかけた。
あの三日月さんは全部知ってて、全部をコントロールする三日月さんに見えたし、三日月宗近とは「完璧に見えてしまうもの」なんだ。
完璧に見えてしまうものとして鈴木拡樹様の三日月宗近完璧だった。
けど、完璧なものなんてこの世にないし、あの三日月さんだって完璧じゃない。
実はたくさん間違えている。失敗の軌道修正と贖罪の話なんだ。映画刀剣乱舞は。
刀ステ序伝の山姥切国広も滅茶滅茶滅茶滅茶大失敗する。自分の至らなさや判断ミス、周囲が見えなくなる視野の狭さで大失敗して、歴史も部隊も危険に晒してしまった。
今回の三日月さんもこの時の山姥切国広にかなり近い。
ただ、刀ステのまんばちゃんはかなり自分の事話してくれるまんばちゃんだから失敗が失敗とわかりやすかった。
考えようによっては
序伝のまんばちゃんは己の物語に駆られての事で、顕現して日が浅くて経験も足りない未熟さや仲間との信頼関係も未構築だった、本丸初期故の過ちだけど
三日月さんは歴戦の経験を持ってして尚、審神者や仲間との信頼関係を確かにして尚、間違えてしまった。とも取れる。
けど、三日月が心境を言葉で語らないから、映画刀剣乱舞は客観的に見ている観客にすら三日月が失敗したとはわかりにくくなってる。
初見から疑問だったこととして
①三日月は信長や審神者のことを何故皆に黙ってたのか
②何故あんなに責任を感じているのか
があるんだけどそこに納得がいった。
普通に考えると「相談しろヨーーー!!!!」
と言いたくて仕方がなくなるんだが
信長の事は「誰も知らない事伝わらなかった事が事実」
審神者の事は「遡行軍のことを三日月も審神者もほとんど知らない」
だからかなって。
審神者だって人間で、本来知らないはずの人。伝わること自体が「誰も知らないまま後世に伝わらなかった」という事実を覆す可能性がある。
そして、刀剣乱舞全体においてそうだけど
時間遡行軍って
『目的も、手段も、情報収集方法も、ボスも正体も何もわからない敵』
なんだよね。
初見の時
「いやいや刀剣30振もいないし。みんな云百歳で経験豊かで命令に忠実だし、相談した方が絶対いいよ!秘密は保てると思う!主の事もすごく信頼してるのに何故言わない!」
って思った。
けど、主と三日月しか知らないはずの代替わりまで察知してきた敵が、信長のことを察知しないとは誰にも断言できない。
そして三日月は誤魔化しが下手。
それなら、話さない事が一番いい。
それで沈黙は金作戦を取った。
けど、三日月の知ってる事って実はそんなに多くない
信長が本能寺から逃げた
信長は安土城で秀吉に焼き殺された
三日月が知ってるのはこれだけ。
あとは映画の中で薬研の記憶として
蘭丸が血路を開いて死ぬ
僅かな手勢と共に安土へ入る
そこで薬研と腹を切る
と描かれている。
三日月はこの辺りは知らない。
三日月が知っている範囲だけなら信長が生きてるのは歴史通りなんだけど、本能寺が終わった時点で遡行軍が信長を手に入れてしまった。
遡行軍が関わってるとあっては何が起こるかわからない。
敵に信長が安土で死ぬ事が知られている可能性すらある。
そして、審神者の代替わりを控えて本丸の守りを固めたいのに再出陣する必要が出た。
本丸は再び手薄になる。
三日月は本能寺で信長の一番近くにいて
「時間遡行軍さえ退ければ何らかの形で信長は逃げ延び、ひそかに安土へ入るだろう」
と思ってた。
けど実際は蘭丸の手がないと生き延びられない。
そこを見届けなかった。
隊員に知られてはならないという気持ちと、早く本丸に帰って審神者を守らなくてはという気持ち、両方の焦りで確かめなかったのかもしれない。
けど、それによって
信長周辺の歴史変わるかもだし(裏の歴史は生き延びたはずの手勢も死んでちょっと変わってるし)
本丸が手薄になって審神者は守れないし
身が危険になった等の主には謝られるし(さっさと勝ってさっさと帰って守りを固めればいいと思っちゃって主も慎重になるべきだと反省したのかもだが)
三日月序盤最初の何分かの間で二重三重の大失敗してる。
それで歴史も主も本丸も危険に晒してる。
これはお前だ……お前だな……たしかにお前だ…………ってならざるを得ない。
その後の策でも目的を濁さず
「織田信長暗殺」
としてしまう事で、信長を遡行軍から奪還する三日月に対し部隊に不信感を持たせる結果に。それでも信じてはくれていたけど。
これ以上はと思ったのか、不動や薬研にも信長の真実は言わなかった(言って思い出せば全容がかなり見えるから余計な衝突も少なかったと思う)
間違いに間違いを重ねてしまっている。
それで「責任は取る」って
信長自刃までの時間稼ぎをして、他の皆は返す。
とても自己満足。
それを戻ってきた皆に思い知らされるわけです。
「あんたも本丸だ」
「主の命でもある。三日月を迎えに来いとな」
「守るものはまだある」
三日月は、主の命も表の歴史も裏の歴史も本丸の未来も、失敗はしたけど最終的には守れたと思った。満足してた。
けど、そうじゃないんだな。審神者は何度も、三日月自身にも自分がいなくなった後の
本丸を頼んでるんだ。
なのに三日月さんは自分は帰らないような作戦を立てちゃうんだ。
それで再び主を危険に晒してまで自分を助けに来させてしまった。
俺は間違ったんだって、主の命を全然果たせなかったし、意味すら理解できてなかった。
それで、焼きが回ったな。って呟くんだ。
焼きが回る……以前より能力が落ちた事。
語源は刃物の焼き入れ。火が回りすぎて切れ味が落ちてしまう様子から。
さっき
「三日月は歴戦の経験を持ってして尚、審神者や仲間との信頼関係を確かにして尚間違えてしまった」
と書いたけどきっと違う、
「経験を持ったから、審神者や仲間との信頼関係を確かにしたから、主が本丸が大切になりすぎたからこそ間違えた」
のだと思う。
序伝の山姥切国広は刀として込められた物語故に間違えたが
今回の三日月宗近は、本丸で紡いできた物語故に、間違えた。
それを刀が語源の「焼きが回った」という言葉で表現する素晴らしさ。
三日月は何も間違わないし間違っちゃいけないように見えてしまうけど、惑うところが描かれがちな山姥切国広をはじめ他の刀と同じように、葛藤し迷い悩み、正解を選ぼうと頑張っている。
頑張っても間違う事も多い。
直そうとしても上手くできないこともある。
三日月も他の刀達と変わらないただの一振の刀剣男士で主人の刀で、何も特別な事はないんだ。
たくさん間違えるんだ。
って5周目でやっと納得した。