「みぞれのオーボエが好き」のシーン、みぞれに抱きつかれて好きなところを列挙され、さいごに「希美の、希美の……」って言われてる時に希美の目が見開かれて期待に揺れてて、あれはやっぱり「フルートが好き」って言葉を待ってたんだよね………
でもみぞれが口にしたのは「希美のぜんぶが好き」って言葉だった。その前の段階で、希美はじぶんは「普通」で、みぞれにある音楽の才能がないってはなしをあんなに率直にしてたというのに、みぞれは「希美のフルートが好き」とは言わない。普通お世辞でもなんでもあなたのフルートがすきだよって言うとこだよね、でもみぞれは言わないし、みぞれにとっては「”希美がフルートをやっているから”希美のことがすきなんじゃない、希美自身がみぞれにとって特別」だからそう言うほかない。
フルートが好き、って言葉がくるかと期待して、その期待が裏切られた希美は「みぞれのオーボエが好き」と言う。その声のトーンは平坦で、明るいものではない。みぞれがどれほど「希美のぜんぶがすき」と言ってくれたとしても、希美はみぞれのオーボエの才能がうらやましかったんだよ、っていう意味のこめられた言葉だとおもう。あと、それを言えば、ほんとうに欲しかった言葉に気づいてくれて言ってくれるかも、って思いもあったかもしれない。でも、それでもみぞれは「希美のオーボエがすき」とは言わない。
で、希美は笑い出しちゃうんだよね。しょうがないなあみぞれは、って。あの「ありがとう」はだから、じぶんがほんとうに望んでいる言葉をくれないみぞれへの複雑な思いと、それでもそんなみぞれを「みぞれらしいな」っていう思いとが混ざってるんだろうな〜〜って。
みぞれに対しては「覚えてない」って言った、みぞれを吹部に誘った時のことを思い出して、希美はすこし震える息を整えるように深呼吸する。あそこで整理をつけたんだろう。ここについてはもうちょっとかんがえたい………
初見の時も「えっここでおわり?!」ってちょっとびっくりしたんだけど、何度観ても大好きなハグから廊下に出て息を吐いてるまでの短い時間に、いろんな感情が凝縮されすぎていて、それまでのあまりにも緻密な心の動きの描写に比べるとちょっと唐突感があるんだよね〜〜〜傘木の整理のつけ方がわたしまだ理解しきれてないみたい。もっとかんがえたい。てかまじで回数を重ねるにつれ傘木愛しくなってきた……泣いたあとの目元が赤い傘木希美しんじられないほどかわいかった。。