※全て個人的な意見です。台詞なども多少曖昧です。

※ネタバレが大量にあります！


〇罪を犯した人は円の外へ出てしまう？

・チカイ(カワウソ)が「俺と一緒に円の外側へ行こう」と発言する。
……チカイはあの弾かれる表現がなかったけれどたぶん円の外側に行ってしまっている。

最後のトオイの刑務所シーンがやけにリアルで気になるが、あれは「罪をきちんと償うことで円の外側に行ってしまわないように(つながりを失わないように)」したのではないか。
『カズキ・エンタ・トオイのつながりは保たれた』ということは比較的わかりやすく明言してるかなと思う。『つながりを保つ』のがハッピーエンドで『つながりを失う』のがバッドエンド、生存説・死亡説出てるがつながり＞生死 な話なんだと思った



〇カズキ・エンタ・トオイは死んだのか？

……死んだ。というか登場人物はほとんど死んでいる（ア の世界は生死の境目？裏ワールドは死後？）なんじゃないかと思う

カズキ……冒頭で交通事故に逢うようなシーンがある→アに入る
エンタ……レオに撃たれる(皿を使って復活したが、トオイが川に飛び込んだシーンにいることから生死が不明。あくまでアの世でなんでも叶う皿、ということ？）
トオイ……川に飛び込むシーンでアが降ってくる、アに飛び込む
レオ……トオイに撃たれる
マブ……レオを庇い撃たれる/機械の心臓を己で爆発させる
チカイ……モブに撃たれる



〇川に飛び込むシーン

「それがどうした！」の意味は、人生が終わってようが空っぽだろうが未来がなかろうが、つながりさえあれば、という意味なのかな
死んだけれども、人と繋がっているならば可能性がそこに広がっている、という希望的なエンディングだと感じる。「未来を漏洩」がモノクロだった(ミサンガ渡す前のカズキを考えるとモノクロ=非現実の可能性、カラーは現実 みたいに感じる)こと、「繋がりたい」と何度も何度も言いながら最終的に「あきらめない」、「さらざんまい(意識共有)」を選ぶところに希望が詰まってる。



〇カズキ・エンタ・トオイがつながりを守れたのは？

……その対比のための存在がレオマブなのではないかと思う。
「自分の存在を犠牲に誰かを救う」をカズキは実際にやろうとしたが、エンタとトオイはそれを絶対に許さなかった、無事やめさせた。
「死んだ人間を生き返らせよう」と考えたトオイは結局チカイ(カワウソ)(=欲、チカイに生きていてほしい気持ち)を自分の手で断つ。
どちらもレオ・マブにできなかったこと………………

地味に大事だった坊主のあのキャラ
……名前すら忘れてしまってごめんなさい。チカイの弟分坊主のグイグイ来るあのキャラ、トオイが「チカイと繋がるためなら悪いこともする」のが本当に正しいのかどうかを揺るがすための大事なトリガーとして働いてるような気がする。
あのあとレオを撃ち殺したトオイ、もう全部捨てて自分すらなかったことにしてしまおうと自棄になるけれど、「繋がることを諦めない」というカズキの想い(それはエンタとトオイが育んだもの)がつなぎとめてくれる。
レオとマブにはいくつかの奇跡が起こっている(後述)けれど、それはこれができていたからじゃないかと思う。




〇レオマブすれ違い整理メモ ～だいたい時系列～

レオ(🥒)マブ(🥦)
🥒🥦カッパ王国で愛し合っている。マブ回想より、仲良くきゅうりを収穫する食べる等していた。また「俺が欲しかった言葉をくれた」(⭐️後述)

🥒マブが自分を残して死んだことを「裏切り」だと思っている。それでもマブを取り戻したくてカワウソ側の力を借りてでもマブを復活させようとする。
🥦復活したマブは愛を口に出せない。繋がりを保つためにレオが嫌いと言うように強制され、欲に呑まれていく。カワウソの姿がレオの姿に見えている。
🥒レオはそのシーンだけを見た(しかもレオから見ればカワウソに浮気するマブ)ので裏切られたのだと思い(俺に愛の言葉をくれた)マブじゃない、お前は人形だと怒る。しかしマブをもう一度殺すこともできず、何かの間違いだと信じたい気持ちのまま？カワウソの言いなりになって過ごす。
🥦マブはレオを「大切」(愛していると言いたいが言えない)、カワウソを「(レオといるために)必要」と表現していた。レオが嫌いシーンを見られていたことは知らないので、何を変えればレオに認めてもらえるかがわからない。頑張って人形焼きを焼く(マブは機械なので味覚とかがわからないから人格そのままだけど上手く作れなかった？)。
レオの気持ちを取り戻したいから、カワウソに逆らったらレオと繋がれないからメンテナンスに行く。
🥒レオはマブが愛を口に出せないことを知らないので、カワウソを大切な人と呼んでせっせと通う裏切り者だと思い続けている。
🥦マブ、美味しい人形焼き作りに成功
🥒あの頃の人形焼きを作ってくれたマブに「やっぱりマブは人形なんかじゃない」と信じ嬉しくなってマブが好きだったパンケーキを買って帰宅。

しかしそこに待っていたのは己の姿をしたカワウソ(自分の欲)に嬲られるマブ。=マブのことを愛したい、また自分に愛の言葉を囁いてほしい気持ち。でもマブはカワウソを拒まない、必要だと言う。
その後、王子拘束して人を撃って皿を奪ってでもマブを取り戻そうとする。='レオはマブを愛している'ということが行動となって出ている。

🥦が、マブはその気持ちに応じることができない。

記憶をスキャンされていたと伝えるとレオは激昴し、「（カワウソの言いなり人形のマブはもう）俺が欲しかった言葉をくれたマブじゃない！」と叫ぶ。胸に痛みを感じるマブ。
……⭐️恐らく過去に自分達は運命共同体だ、どちらかを一人きりにしないという内容の愛の約束をしたのではないか。
→レオが殺人や強奪までやるのに軽率に自己犠牲に走ろうとしないのは二人を繋いだ約束の言葉があるのでは？

🥒レオは4枚の皿を奪いカワウソに歯向かう。あんなマブは要らない、自分で本物を取り戻すと宣言。
🥦マブは愛の言葉を口に出せなくとも、そばにいられればそれでいいと思っていた。レオと繋がっていたかった。しかしレオに強く拒絶され、それならせめてこの身勝手な欲望(ここがわからん レオに愛を伝えたいということ？判定:欲なのはもう死んでいるから？)を満たしたい、とゾンビに。この時点で繋がれなくなってでもレオに愛を伝えたい決心がついている
🥒落ちていくマブの微笑みを見てそこでようやくマブの無言の「愛」を受け取った、人形ではない本物のマブだとまた思った(のではないか)

マブの秘密がレオに伝わり、レオが見ていたことも漏洩する。そして例のシーン。

🥒「マブのやつ……2度も俺を裏切りやがって」=自己犠牲はレオの中で絶対にしてはいけないこと 「置いていかれた俺はどうすりゃいいんだよ」(レオは過去に「置いていかれた」経験のあるひとりぼっちの存在だった？それを救ったのもきっとマブ、マブの愛)

マブのチェーンを手にした時、小さく「なに…」と言うレオ。名前を見てもなお「マブ」が思い出せないレオ。「胸が痛え……」



〇レオとマブの奇跡

レオが円の外側に出てしまった時、マブと繋がれたのは何故か？
→レオが最後に掴んでいたから、最後の瞬間にそばにいたから、レオが諦めなかったからではないか
何故チェーンがレオの胸ポケットにきちんと収まったか？
→マブがレオと繋がることを望んだから・願ったから？
……このへんを総称して「奇跡」と呼びたい。レオとマブは方法こそ間違ってしまったが、繋がりたい気持ちと愛だけは最後まで手放さなかった。keep only 1 luv……

→そのためラスト、アの世で二人は人力車マンになっている描写がある。これは二人もあの後トオイのように罪を償ったのかもしれない。罪を償う選択をしたならば、それは「もう一度レオと・マブと繋がるため」が動機だろうし、カッパだから罪とか関係なくてレオが弾かれたのは欲望を抜かれてしまった・マブを失い欲望を見失ったからなのかもしれない。
なんにせよ、keep only 1 luv がヤバすぎてもう無理 つらい 無理



〇「欲望」

さらざんまいのひとつのテーマとして「欲望」が掲げられているが、この物語において欲望(カワウソ側)は悪寄りに描かれている。
繋がること、愛……カッパ側
繋がらないこと、欲……カワウソ側

「欲望の河を渡れ。もう決して戻れないのだから」
「手放すな、欲望は君の命だ」
と表記されているし、さらざんまいでは「つながる」「愛」を強く描いているがそれ以上に「欲望」を一番重要視しているような気がする。

「愛を手放すな」「つながりを手放すな」ではなく、「欲望」とした理由はなんなのか。さらざんまいでは結構皆悪いことをしている(そこがリアルでもある)。それぞれの欲に従っている。なぜそれをメインに描いたのか、私個人的には「最も生きる力に直結するから」だと感じる。

愛だけを抱えたレオマブはふたりきりで円の外側へと行ってしまい、つながりだけを求めたカズキ・エンタ・トオイは(恐らく)死んでしまった。
欲望に従い犯罪を起こしたキャラも円の外側へと弾かれてしまったが、欲望と愛スレスレの願いを持ちながらちょっと悪いことをしてしまった（きちんと反省したこと、犯罪ではない点が生存理由？）キャラ、「ハルカ」が生きている。欲望か愛かギリギリな惚れ方をしていたエンタ姉も生きている。

繋がることを諦めない、愛を保ち続ける、それ以上に伝えたい「生きろ」のメッセージがさらざんまい流になったものが「欲望を手放すな」なのではないか……みたいなことを思った。リスクを背負い他者と欲を共有することがつながり、「我らは似たもの ひとつの生命」が愛と欲？



さらざんまい、何回見てもたくさんのメッセージをその都度受け取ることができる、最高のエンターテインメント。SNSまで使っての最高演出。制作者の方々ありがとうございます。ありがとうさらざんまい。ありがとうさらざんまい！