これは最近になって今更点と点が結びついた推測ですが、小春のメンタリティにおける源流はやはり病弱だった過去なのではないかと改めて。
以前原作37話の感想でも触れた通り、確たる根拠になる描写がないため、これは考察の水準には達しない推察であることを念押ししておきつつ……
小春がしばしば見せる2つの精神状態、嫉妬(羨望)と無私(無我、自己犠牲)。自己を念頭に置いた上で他者に抱く(悪)感情と、自己を一時的に放棄する状態です。
どちらも小春の中ではかなり根幹に位置しているであろう感情ですが、一見相反するこの二者が幼い小春の成長途上でどのように両立されていったのか。
喘息で入退院を繰り返し、外遊びも満足にできなかった、当時の小春が嫉妬と無私それぞれに通ずる思考を備えていった経緯の想定は現段階で可能です。
1つは37話感想で触れた通り、家族のみならず医者や看護師の手を煩わせてしまうことへの罪悪感。周囲の目が小春自身に傾き続けていれば、それと釣り合いを取るように小春自身の良心が自己犠牲の方向へ向かってしまう、という寸法です。
もう1つは、入院によって小春が孤独になりがちだった環境的要因。21話回想からしても当時の海凪家が常に小春の側にいられるワケでなかったのは明らかですし、加えて未就学時点や小学校の時点で同年代の子供とも距離が開けていた可能性や、ことそういったコミュニティでの屋外活動においても小春自身が不自由していた可能性もあり、そこから小春が疎外感を覚え、周囲への嫉妬に繋がっていった線などがあり得ます。37話の回想も振り返るに、その疎外感や嫉妬の要因には実の弟さえ含まれている辺り、かなりの重傷と見ておいて良いでしょう。
この二者は概ね肉親の死でも発生し得る状態であるものの、死別前(21話回想時点)で既に嫉妬が見られていた点や、疎外感への拒否反応(24話などで見られています)を覗かせる点が引っかかる箇所でもありました。
肉親の死はこの小春の精神状態を悪化させ、更に自己暗示の悪癖を上乗せさせた出来事で、嫉妬と無私についてはそれよりずっと前から小春に見られる傾向である……
これを成立させてしまう「病弱だった過去」という起点の仮定は、今後もしっかり頭のどこかに置いておきたい所存。
参照:
https://blog.s6jr.com/2021-08-24-comic/