初ディスグーニー
デカダン感想 2回しか見てない
テイラーは十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人と本人は思っているんだなと思った。
時系列をまず整理したかったのでとりあえず。細かい感想とかその他は明日以降
※全部読もうとするとめちゃくちゃ長いです。目次や見出しを作ってるつもりなので適宜拾いたいところを探してもらえれば……
【話の要点】はざっくり言うと
・テイラー「十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人(と本人は思っている」
・マリウス「腹違いの姉の『こんな国なくなってしまえばいい』という発言を実行する力を持っていたサイコパス」
というもの。前者は話の中で度々それを表していくが、後者は最後の最後まではっきりと出て来ない。
【話の構造】としては過去の重大な出来事と人物の行動原理を隠したまま進み、何度も回想を挟んでいくというもの。ミステリーでいうと事件そのものの存在を暴きつつ、犯人と動機が隠されたまま進んでいくタイプ。
行動原理と重大な出来事の真相がわかることでカタルシスを得るものの、かなり終盤まで引っ張るのである程度予想出来る人、その行動原理に納得出来る人でなければイライラしっぱなしな気もする。複数回見ても楽しい作りになっているので、いわゆる舞台オタク向けだなと思った。万人受けを狙っているわけではなく、限られた客(少数という意味ではない)を相手にしている気はした。そしてそれがいいところなのだろうなとも思った。かなりメタネタ、時事ネタが多く、それを楽しめるかどうかでも好みがわかれそう。私はメタネタ大好きなのでメタネタが豊富なシーンは楽しくて仕方がなかった。また、ファンタジー中世はわりと現実を無視して進ませなければならない部分が多く、メタネタを挟むと「そういうものです」感があって個人的には良かった。しかしそれはそれとして二幕は引っかかるところも多かったのでそれは個人的な感想で後述する。
■時系列
■話の鍵となりそうな人物について
■真相の予想
■不明点
■個人的な感想(否定的な意見読みたくない人は途中回避してください)
の順で書いていきます。
以下、作中で示された出来事、または推測出来る事の時系列順。3回しか見ていないので誤りや抜けは多そう。
■時系列
・A国でテイラー、マリウス、ジェンバ、パサド、ユベールが暮らしている
・マリウスは王の妾の子として疎まれつつ時々王家に呼ばれる、ここでエリシアとチェスを通じて仲を深める
・A国にてエリシア王女が200年に一度王家から生まれる魔女(アンナ)を生む
・マリウスが魔女のことを知り、地図を手に入れる(捨てる計画を知ったと仮定してこちらを先に置きました)
・アンナが地下牢に捨てられる
・5人が地下への階段を下りていく
→途中でユベールが抜ける
→テイラー、ジェンバ、パサドが地下(ランプを持っている、牢屋へ行こうという台詞からここは確定)で足音に怯える
(そしてマリウスが現れる。一緒にいたはずのマリウスが現れる、何かのために一時離れただけなら三人がマリウスの心配を一切しないのは不自然、と状況が謎なのでユベールが抜けた時に一旦切り上げ、次の日に改めた?)
→ユベールのあと、パサドも下りていくのをやめる
→マリウスがパサドに嘘の集合場所を教えた
(素直に考えると話が噛み合わないので、地下牢へ行った時のことではなく別の時、いつもそうだったという話?アンナがどういう状態で置かれていたのかによるが、3回めでやっと見つけたとなるとさすがに不自然な気がする。しかしさらに仕切り直し3回目の時にパサドを呼ばなかったという話なら整合性がとれる)
・3人がみつけたアンナをジェンバの妹として育てる
(兄が一人で育ててくれた、というので両親はいない模様)
・アンナが物心つく前にパサド、ユベールがその街を出る
(アンナがパサドとユベールのことを一切覚えていないので)
・マリウスが街を出る?
(同じくアンナはマリウスに対して執着がない、覚えていないことから判断、いじめられていて好きではなかったからという可能性もあるので不確定)
・テイラーが街を出る
・ジェンバ、アンナが街を出てB国へ行く
(冒頭でアンナがマリウス・エリシア・シオンの王家があるA国へと国境を越えるシーン、ジェンバがアンナを置いていったという話があるため、一度生活基盤を他国に置いているはず)
(完全に推測の話:どんどん街を出て行くこと、ジェンバとアンナに至っては他国にまで渡っていることからこの頃から動乱は継続してあり、国は荒れていた?)
(ユベール、パサド、マリウスが順に出て行ったのではなく、テイラー、ジェンバ、アンナが一緒に他国へ行ったという可能性もあるがここは不明)
・先王が亡くなる(5年経つことだけがわかる状態)
・マリウスのせいで「この国は民を物として扱うようになった」という台詞(ジェンバがテイラーの家を初めて訪れた時の発言)があるので、(もしかしたら元から荒れていたかもしれないが)国が荒れていく、時期不明だが恐らく5年以内
・テイラーがパトロンに成果を奪われ、パトロンを殺してしまう(4年前のことだと言及あり)
・ジェンバがアンナを置いて出て行く
(正確な時期がわからないためどれくらい前のことなのかは不明、数年前ではあると思う)
(ジェンバが出て行ったあと、アンナが暫く一人で暮らしていたという話もある)
・ジェンバがアンナに手紙を書く、魔女伝説と地図を託す
・アンナが神父のもとを訪れ、パサドと合流する
(パサドがアンナを待っていたことから、パサドはある程度ジェンバと連絡をとっていた?後にパサドがジェンバVSカヤルの場面に現れ「直接会うのはこれが最後だ」と言っているので、手紙等で連絡をとっていた可能性)
(パサドは革命軍ファルコンとも知り合いであり、成長したユベールとも交流を継続していた)
・ファルコンとアンナが合流
・カヤルがマリウスの命令でファルコンを叩きに来る
・エリシアを革命軍が襲う(失敗)
・シオンをカヤルが襲う(失敗)
・テイラーがオルタンシアに連れさられる、シオンがテイラーを勧誘するが断られる
・ジェンバがマリウスと接触し、王宮で働き始める
・仮装祭、戴冠式が決まる
・仮装祭、戴冠式に乗じてマリウスがシオンの暗殺を再びたくらむ
・シオンVSカヤル、シオンVSジェンバで決着がついたかと思いきや中断
・アンナが魔女として革命軍のシンボルになる
・テイラーが革命軍に加わるよう頼まれて断る
・各地で革命の機運が高まる
・マリウスが火あぶりを始める
・ダナエが火あぶりに
・タイラーがマリウスの元へ乗り込む
・アンナが王宮へ向かう
ここからバンバン人が死んでいくので時系列が怪しい……
・オルタンシアがシエルを庇って死ぬ(?)
・シエルがテイラーを地下牢から出して死ぬ
・テイラーVSシオン、瀕死のシオンがエリシアの元へ向かう
・カヤルVSジェンバ、カヤルVSパサドの二人がかりでカヤルを始末する(パサドも死ぬ?)
・マリウスVSジェンバ、マリウスVSユベール、マリウスVSグリーン
・アンナが王宮へやってきてジェンバとの再会を果たす
・シオンがエリシアの元へ辿り着き、チェスを指して死ぬ
・地下牢でテイラー、マリウス、ジェンバが話す
・ジェンバは生き残り、後にシェリーニと本を執筆する?
・200年後、神父とオルタンシア(二人はそもそも人外、あるいはオルタンシアは元々神父が人でないことを知っており、死んだことで天使として存在するようになった?)がこの革命について会話する。その時の手元にある本がジェンバとシェリーニの名前になっている。(語りかける形になっているので二人が執筆したと思われるが、その本を読んでいる存在が人外であるため、『本当にジェンバが執筆したものなのか、概念上の本なのか』を判別することは出来ない)
ツイートを検索する限りそもそもこれは三部作となっているらしく?単体で考えるには限界があると思うものの、以下では出来る限りこの作品でわかったこと、考えるにあたって重要そうなことを述べていく。
■話の鍵となりそうな人物について
【考察というか、作中で明言はされないけど作中の表現から推察出来ることなど】
作中の台詞でいくつか重要そうな台詞・場面があったのでこれを述べる
ジェンバ「俺たちはいつから俺たちの言葉を失ったんだろう」
テイラー「俺たちは太陽の中心だ」
ジェンバ「その言葉を聞くためにあの子を育てたんじゃないのか」
神父「人の心は一つではない」
シオン「善人にも悪人にもなりたくない」
神父とエリシアのチェスの場面で暗示された駒と人物
「ルーク→シエル、情報屋二人
ポーン→ファルコン
ビショップ→マリウス
ナイト→テイラー
キング→シオン
クイーン→エリシア」
マリウスとエリシアの「キングがとられてもクイーンが一番強いゲームにしよう」
マリウス「魔女なんていない」
ジェンバ「まるで俺たちが大人になったみたいだな」
「一人殺せば犯罪者、ほどんどを殺せば英雄、全員を殺せば神」
マリウスが街を去る前日、テイラーと二人きりで何かを話そうとして出来なかった
ちょっとずるいけど配信から
西田さん「少年たちが大人になりかけて、俺たちはいつから大人になったんだろうっていう話(要約)」
猪野さん(ジェンバ)「子供のルールを今でも引きずってるのがジェンバ」
この話について考えるにあたって恐らく特に大きな意味を持つのが
・「俺たちは太陽の中心だ」=子供の持つ無敵感、何だって出来るという希望と傲慢。それを失うことが大人になるということなのか、子供と大人とは
・「人の心は一つではない」、人は常に一つの思想のみを抱えているわけでなく矛盾し相反するものを持ちながら生きている
ということだと思う。基本的には作中で表現されたことを根拠に考えていく。
先にも述べた通り、過去の重大な出来事と人物の行動原理を隠したまま進んでいく話なので、革命の達成ではなくこれらを明らかにして初めてカタルシスを得る形だと思う。
重大な出来事は「地下牢で見つかったもの」「魔女とは」、行動原理については主要三人と王あたりが重要だと感じた。積極的に動いている中でマリウスが一番力を持っていることからも、マリウスの行動原理が最も注目されるところだと思う。
出来事に関しては、魔女とはアンナのことであり、三人が見つけたのはアンナだったということで決着がつく。
これはまあ見ている時に段々予想がつく、というか少なくともアンナが魔女であることはわかると思う。
問題は登場人物の行動原理、平たく言えば何を考えているのかの方で、相反する要素がどんどん出てくるため神父の「人の心は一つでない」をヒントに考えていかないと上手く消化出来なさそう。
・テイラー
一貫して革命には与しない立場をとりつつ、最終的に都合よく祭り上げられてしまう。オルタンシアの「昇っても沈んでも太陽は太陽」はまさにその通りで、テイラーは運命づけられた太陽の子であり本人の意思は関係ない。そもそも太陽の子と自然に呼ばれるようになり、自ら名乗ったわけではない。人を殺してしまった瞬間、自分に失望した。他人に頼られるような人間ではないと思いつつも、結局一人殺して終わる犯罪者ではなく、革命を先導し多くを犠牲に事を成す英雄となる。子供と大人の話でいうと、何でも出来ると思っていたのは誤りで限界があると知ってしまった大人。しかし革命を成すことによって結果的にまた何だって出来る無敵ぶりを周囲から付与されてしまうので、太陽の子という永遠の子供でいることが望まれ、また周囲にそうであると仕立て上げられてしまう運命を背負っている。沈んだ太陽は昇る運命にある。
「マリウスが何を考えているかわからなければ何をしたって無駄」(うろ覚えなのでだいたいのニュアンス)という発言から、思惑は概ねわかっている模様。ただしジェンバのことも考えると、そもそもマリウス本人から幼い頃に何か聞いていた可能性あり。
・マリウス
わかりやすく二つの大きな行動の柱がある。「国を滅ぼす」「エリシアが好き」国を滅ぼすのはそもそもエリシアのためでありながら、エリシアはそれを感情表現の一つとして言っただけで本当に実行したいとは思っていないので乖離してしまっている。単純に(憎むべき「王家」を戴く今の形式の)国を滅ぼすなら王族を皆殺しにすれば済む話だが、国をめちゃくちゃにする、エリシアには平穏をもたらすという目的もあるので話がややこしい。序盤はシオンを殺そうと画策しつつ、後半で革命軍をあえて煽ったりしているので破滅的だな……何がしたいんだ……と思っていたら本当に破滅を願っている人間だったので一見矛盾しているように見えて一貫性はある。希死念慮さえ感じる。シオンを殺そうとするところには疑問もあった(王にしてしまえば、革命が為された時に処刑されるのでは?あえて殺す必要は?と思ったので)が、シオンが生きていると思うように動けないようだとジェンバが語っていたので、そこも整合性がある。また、可能性としてはシオンに対する嫉妬や恨みなどもあった。いうなれば冷静に狂った人。テイラーが人殺しの末に待っていたのは狂人と闇の世界的なことを言っていたが、マリウスは最初からそこに住んでいたような気がする。物語を動かす根本。子供か大人かで言えば、大人の実行力を得た子供。何だってやってやる、の境地。子供は未来の可能性由来、つまり、出来るかもしれないという蓋然性に留まるはずのあらゆる無敵感、希望、傲慢さを持つが、マリウスは本当に何でもできる大人になったので子供時代の精神性全てを持ったまま大人になることが出来てしまった人。
「魔女なんていない」と言いつつ、結局自分の目的のためにアンナを魔女として利用したので、「魔女はいないし、アンナは魔女ではないがアンナを魔女として殺そうとした人々のために魔女としてこの国を破滅へ導いてもらおう」的な考え方をしていたのかもしれない。そうだとするとかなりの皮肉屋。
・ジェンバ
個人的には一番何を考えているのか、何を知っているのかよくわからなかった。
事実として、アンナを育てた・他国にアンナを置いていった・アンナについてパサドと連絡をとりあっていた・テイラーを革命軍に入らせようとした・マリウスの傍へ行った・シオンを殺そうとした・シオンに「申し訳ありません」と言いながら斬りかかる・シオンを逃がした・エリシアにアンナが娘であることを伝えた・アンナに王を許すか問うたうえでアンナを助けたのはマリウスであることを伝えた、ということがある。これらを総合するとどういうことなのか、誰の味方なのか、何を知っているのかわかりづらい。マリウスの目的をどこまで知っているのかが一つの鍵となっていて、テイラーは国をめちゃくちゃにしたいらしいと察しがついていそうだった。一方ジェンバはというと、革命を成すにおいてマリウスがどう出るかがわからない、と発言しマリウスのもとへ行っているところからもマリウスの表面上の願いと、その奥に別の願いがあること自体はわかっている様子でありつつ、その真の目的が何かまではわかっていないようだった。行動から考えると「革命を成したい(よりよい国にしたい、でありマリウスや王家の打倒を目的としていない)」と思っている。また、アンナを革命のシンボルに仕立て上げる片棒を担いでいる(パサドに革命軍への案内を頼み、ビラを撒いている)のでアンナを積極的に巻き込もうとしているわりには置いて出ており、アンナが革命には必要だと知りつつ、連れ出しはしなかったことになる。これは「アンナのことが大事」だからではないかと考えた。これは育てるうちに情が移るのは自然なことだと考えたからで、アンナが自らやってこなければそのまま平穏に暮らしていられるチャンスを最後に用意したのではないかと思う。そうでなければ共に家を出ているだろうし、アンナが国境を越えてからはいくらでも姿を見せる機会があったに違いない。最後の最後まで再会を果たさなかったのはメタ的なことを言えば話の盛り上がりの一つとして必要だったからだろうが、ジェンバの心情的にアンナの顔を見たら革命に巻き込むことに迷いが生じてしまうからかもしれないと考えれば自然なように思った。また、ジェンバの行動は不可解な点が多い。単純に革命を成すには王族を殺してしまえば早いものの、ジェンバはそうしていない。唯一斬りかかったシオンも逃している。(この場面はカヤルも同じくシオンを逃していることになるので謎が多い。何らかの取引があった可能性もあるが、後にカヤルとジェンバが殺し合いをしているので完全に折り合ったわけではない) ジェンバは王族に対して礼節を欠いておらず、マリウス以外には丁寧に話している点も気になる。マリウスのせいで悪政が為されていると知りつつマリウスが火あぶりを始めるまで責めることもなく、マリウスのもとへ行くのも心配してのようなので、ジェンバは「マリウス(友人)を大事」に思っていて、革命を成そうとしているが王族(友人の家族)を憎く思っているわけではないのではないかと思う。考えていることはそれぞれの立場的に一番ややこしい人な気がする。子供か大人か、ということになると、配信にて演じている人が「子供のルールを引きずっている」と発言していること、テイラーに「あの言葉(俺たちは太陽の中心だ、のことを指すと思われる)が聞きたい」と言うあたりから、まだ自分たちは何だって出来るはずだと可能性を信じている。そして「俺たちの言葉を失った」とも手紙に書いているため、まだ子供のような可能性を信じてはいるが、今は失っているとも思っており、取り戻そうとしている中間のような人だと思う。
改めて嚙み砕いてみてなんとなくこうかな、と思ったことになるので、推論の部分が多くなってしまった。
・シオン
またもや何を考えているのかわかりにくい人。
「善人にも悪人にもなりたくない」と発言しており、神父はシオンのことを「いい王になるんですがね」と言っている。なお、この神父の言い方はシオンが即位しない、あるいは即位したとしても長くは続かないことを言外に含んでいるため、神父はこの先どうなるかを全て知っていることになる。
上記の発言以外に事実として出てきた行動などは、外様であり王家や国について調べている、マリウスが自由に動くのを抑えている(本人ではなく他の発言より)、テイラーを攫いこちら側につかないかと誘う、仮装祭には出ない(戴冠式には出ない)と言っていたが出ることにする、暗殺を狙っているカヤルをあえてそのままにしておく、マリウスの肖像画を描く、心の余計なものを取り除いてエリシアとチェスがしたいと言う、テイラーに武器を与えて自分を討たせる。アンナ(シオンとエリシアの娘)が生きていることも知っている。革命させたいのか?させたくないのか?わかりづらいが、「革命も致し方なし」と思っているのではないかと思った。ジェンバの「私の考えていることが正しいとすれば、あなたはとんでもない王だ」という発言からすると、マリウスの思惑を少なくともある程度は知っていることになる。そして革命も仕方がないという諦念はありつつ、マリウスの破滅を防ごうとしている。マリウスの肖像画を描いていた点で大事に思っている、あるいは王になるべきだという意思があると考えられる。また、他の行動も自分のためでなく、「マリウスのため(破滅を防ぐ)」「エリシアと向き合うため」だと考えると説明がつくように思った。マリウスが革命を利用して全てを破壊しようとしているのを知ってなお、革命はいいがマリウスの破滅を防ぎたいと考えているのだと考えると説明がつくように思う。テイラーに剣を渡し発破をかけたのも、革命の先導者である太陽の子に王が討たれたとあれば革命は成されるからではないかと思う。大人として諦めを持ちながらそれでも出来るだけ抗い自分に出来ることをやろうとし、最終的にベストではなくベターな道をとった、一貫して大人な人だったと思う。
以上から、17年前よりの流れはこういうことではないか?と考えたことを以下に述べる。完全な推測にすぎず、ある程度作中の表現や事実に筋が通ることを優先した根拠に乏しい話になるため私はこうではないかと考えたにすぎないことを念頭に置いて読んでいただきたい。
■真相の予想
17年前、王女エリシアが外国から婿入りしてきたシオンとの娘(アンナ)を産む。しかしこの娘が伝説の魔女ではないかということになり、処遇をどうするか議論がなされる。この時エリシアは抗うが、シオンは立場が弱いために発言権がなく、周囲の意見に流されるまま。地下牢に乳母とアンナがいること、アンナが近々殺されることを知ったマリウスが地図を持ち出し、四人と共に地下牢を目指す。(この時マリウスは自分だけではどうにもならないと無力感に苛まれ、屈辱的だと思いながらテイラーの力を借りたのかもしれない)
テイラー、マリウス、ジェンバの三人は地下牢からアンナを助け出し、ジェンバの妹として育てることになる。この時マリウスはテイラーとジェンバに魔女と言われている子供だということを話す。また、いつか革命をしよう、そのためにアンナを育てようという話をする。(ジェンバの「あの言葉が聞きたい」「その言葉を聞くためにあの子を育てたんじゃないのか」が指す言葉は「俺たちは太陽の中心だ」=革命を指す言葉であることを考えると、革命のためにアンナを育てたことになるため。ユベールとパサドが「ジェンバの妹(とジェンバが言い張った)」は知っていてもそれが魔女だということを知っていたかは不明、察しているところはあったので、子供時代から何か察していたのかもしれない)
殺すはずの魔女が何者かに連れ出されたことが発覚するとまずいので、国としては殺したことにする。
マリウスがテイラーにだけ打ち明けようとしたのはマリウスにとっての革命の本当の目的。結局言えなかったが、マリウスに何らかの思惑があることはテイラーにも伝わったのでテイラーは後にマリウスの狙いを察することが出来た。
エリシアが他国の教会までわざわざ祈りに行くのは娘のため(魔女として処分されているので国内で公に祈れないから、とマリウスは考えているが、エリシアはマリウスを思って祈っていたと後で発言している)。
マリウスがシオンを目の敵にしているのは目の上のたん瘤であると同時に、エリシアを守れず娘を見殺しにしたから、ひいてはエリシアに愛されエリシアの一番であるため。嫉妬と恨みの混在。シオンはマリウスがエリシアを愛していることを知っており、娘を見殺しにしたも同然の自分が恨まれるのも当然だと思っている。また、エリシアのことを愛している・外様で国の伝説など知ったことではないため娘を殺した国に対する恨みもあり、国に未練がなく革命されようがどうでもいいと思っている。しかしマリウスのことは同族意識からか大事に思っており、破滅は防げないかとも考えるようになる。
ジェンバは革命のために育てていながらアンナに情がわき、アンナがいなくとも革命出来る可能性に賭けて家を出る。それと同時に、危険を承知で手紙を頼りにアンナが来たとすれば、それは運命だと受け入れようとも思っている。
これ以降は作中で描かれた通り。
■不明点
・オルテンシアがテイラーに地下牢で「思い出の場所なんでしょ?」「償うとしたら、その時の思い出に対してじゃない(うろ覚え)」と言うが、オルテンシアは誰からそのことを聞いたのか→シオンではないか。シオンはマリウスがテイラーたちと地下牢からアンナを助け出したことを当時から知っており、その点でマリウスに恩を感じていることが後に繋がっているのかもしれない。これは完全な憶測。償う、は責任をとって革命をやり遂げること。
・地下牢から出たテイラーが望遠鏡を覗き込んで何に気づいたのか→地下牢ですよね?何か書いてあったのか?
他は思い出したら追記します
■個人的な感想(否定的な意見読みたくない人は途中回避してください)
【嫌な話スタート】
ファンタジー中世、何も考えずにすむ話だとまだいいものの、深く考えないといけない話になると現実の知識が邪魔して仕方がない(国が荒れているのに庶民の識字率が高すぎる、一市民に過ぎないはずの人々が戦え過ぎるなどなど)のでそことどう折り合いをつければいいのか悩んだが深く考えるだけ無駄だなと諦めた。世界観を徹底しすぎて下手に話に入り込みすぎると諦めきれなかったと思うので、メタ話盛沢山なのはとても良かった。そもそもメタネタがとても好きなのもあり。それでもさすがに連射可能の銃が出てきたときにはなんでや!!!!!!!それあるなら金も権力もある近衛かって使うやろ!!!!!!と盛大に突っ込んでしまったが無粋無粋……と、合理性と効率が大好きな現実の自分を封じ込めた。建前上他国との交易を禁止しているから……と考えると何故エリシアは他国の教会に易々と……などと考え出してしまい憶測が憶測を呼ぶ状態になってしまう。結果、遠い国が独占技術として銃を持っており、それを革命軍が人脈を駆使して闇ルートで手に入れたことにした。作中のことを根拠にして考えるのはいいが、あまり推測が過ぎる、というかそこまで自力で穴埋めしないといけない話はどうかと思うタイプなのでこの問題はこれ以上掘り下げずに置いておこう……と思ったらクライマックスでまた出てくるのでなんでや!!!!!!そこは不意打ちで襲い掛かるとか弓とか投石とかやったらあかんかったんか!?!??!?!と厄介さんな自分も出てきてしまった。もっと素直な心でお芝居が観たい。
いいと思った話がしたいのだがついでなので嫌な話を先に済ませてしまうと、シエルとオルテンシアが殺陣の時に左手がわりと留守だな……と思ってしまった。殺陣の正解がわからないまま感覚的に思ったことなのであれでいいのかもしれない。わからない。シエルは鞄持ってるからそれ押さえる手があってもおかしくないし、オルテンシアは強いってことなので余裕を見せるという意図があったのかもしれないし正解がわからない……でもなんとなく思った。
そしてダナエの火あぶりの時、熱した剣を押し当てる拷問は残虐性がとても伝わり、見せしめ感もあっていいなと思ったのだが、肝心の火あぶりで死んだ、と思ったら生きてる……死んだ、と思ったら生きてる……を繰り返す挙句、冷静に語りかける上に火をつけられたことに関してノーリアクション、叫び声一つ上げなかったので、火あぶりとは??????となってしまい、そこで急に冷めてしまったのでそれ以降は役者が悲劇に酔っているようにしか見えなくなってしまった。あそこでもっと悲劇性を煽って欲しかったな……と思った。それだけのことでものすごく冷めてしまった自分にも驚いたが、他の様々な作品では火あぶりに怯えたり叫んだりしているのを目にしていたので来ると思っていたものが来ずに拍子抜けしたのもある。しかしそれも後から考えればダナエをジャンヌダルク的存在としたかったのかなとも思う。ジャンヌダルクが毅然とした態度で火あぶりにあうのは聖女としての立場があるのでわかるし、ジャンヌダルクの火あぶりの後により力を増し目的を成すので、そういう扱いにしたかったのならわからなくもない。だがそれならもっと聖女としての属性がダナエにあることを見せて欲しかった。先の拷問で叫び声をあげてしまっているので、叫ばないように耐えているとは思えないのもある。マリウスの目的が発覚する場面で気分を持ち直したがそれまで白けてしまった。
仮装祭のところで西田さんが突然出てきたのもスン……としてしまったがこれはたぶんディスグーニーのカラーだろうなと思ったので、これは楽しめずに冷めた私の方が完全に悪い。前日も観劇したがその時のカテコから過剰に千秋楽煽りをしてきたように思えるのと、千秋楽だからとあれこれ遊び過ぎているのは色々な意味で「いや我々の立場としてはどの公演見てようが同じ値段払ってるんですけど!?」と思い、それも「ふーん……」的な気持ちになった。演者としては最後に思い入れがあるのも、楽しくなるのもわかるが、後半で悲劇に酔ってんな……と思ってしまったのも相まって「内輪ネタ感」というか内輪だけで楽しんでいる感じがしてしまった。しかしこれも言わばお客様根性だと言われればぐうの音も出ないので、単純に楽しめなかった方が悪いという話だろう。でも前半がめちゃくちゃ楽しかっただけに、ディスグーニーめちゃくちゃ面白いやん!?と知ってしまい、めっちゃ面白いのは面白いねん……と複雑な気持ちを抱えている。これは逆に内輪ネタを理解したら大丈夫になる部分なので、今後も観劇したら払拭される気がする。
【嫌な話終わり】
上げて下げるより下げて上げた方がましかな……というわけで、ここから先は良かった話。
何度も言うが、メタネタが多くて楽しかった。漫画などではよくあるものの、お芝居ではここまで入れてくるのを見たことがなかったので。猪野さんが遊べる部分でメタネタをよく入れてくる人で、それが好きなのもあり、「あー西田さんのお芝居好きって言ってたのはこういうのも含まれるのかな」と思った。
西田さんが手がけられたものを見るのは血界戦線以来なのですが、あれも西田さんカラーがものすごく出てたんだな、とようやく知った。一幕二幕での切り替えも一緒。その他諸々も。
光の使い方がすごく良くて、場面の切り替えなんかもすごく良かった。語彙が追いついて来ない。光がいちいちドラマチック……良い言い方が見つからない。明暗がはっきり分かれると感情が動くというか、転換がわかりやすくなるし、ランプの光が特に印象的で良かった。セットの弧を描くものがなんなのかと思ってたけど、そういうことか!!とわかった瞬間すっきりした。日食が鍵になる話ということもあり、光の使い方がすごく綺麗なのがしみじみ良かったな……と思った。ブロマイドだったかな、ランプを持ってるのはこういうことか!と納得したのも含めて色々鍵となるものがわかりやすく散りばめられていて、話で色々伏せられているけれどそのヒントを元にあれこれ考えたりする楽しみがあった。時々激しい動きでセットが揺れるのはハラハラしたものの、何事もなくて良かったな。殺陣が多くて、そしてスピード感がすごくて見応えがあった。特に良かったなと思ったのはちゃんとマリウスやカヤル、シオンが庶民を圧倒しているところ。二人がかりなんかでも圧倒しているのが良かった。レベルに差があって当然なのに完全に渡り合ってると市民はどこで学んだんだ……って厄介な自分が出てきてしまうので。少年時代、ちゃんと少年らしさが出ていて明らかに少年だとわかるので、「俺たちが少年やるの無理があるよな」的台詞はメタネタとして笑ったけど全然いけるな……と思った。
推しの贔屓目があるのは諦めて欲しいのだが猪野さんのやられた様子が毎度のことながらうわ……と思う感じだった。上手く言えない。マリウスの根性だけで動いてる感じもマリウスらしさがあって良かった。
というか終始、芝居とはこういうことだと見せられた気がした。何もかもすごい。すごい人の集まりだという話に偽りなしで、一人一人に説得力があった。話が明快なものではなく、考えないとわからないことも多いし、想像して補う部分も多いので、生半可な演技ではまず演技の違和感で躓いてそこまで辿り着けないと思う。そこには一切ストレスを感じずに見られた。
良い話をしようとすると理屈でなく感情で良いと思っていることが多いので途端に雑な感想になってしまう。役者さん単位で特に気になった何人か書きます。語彙には期待しないで欲しい。
・主演の塩野さん
過剰に主張しない感じが良かった。テイラーは拗ねてるに近いというか色々諦めてしまったというか自分の限界が見えてしまった人なのであまり声を張らないのに台詞が聞き取りやすくて、そして声を荒げるところは思い切り、少年時代は屈託なく太陽の子として、幅があるのにちゃんと一続きの人物の様々な面を見せてくれて違和感が全くなかった。淡々と変なことをするところが好きで、メタネタをやるとシュールさが際立っていた。音(コード)を切った場面、あまりにも淡々とやるので一瞬わからず、一拍置いて面白くなった。テイラーは初見では何を考えているのかよくわからなかったものの、回数を重ねると何を考えているのか追っていけるようになり、これも塩野さんが細かな部分までテイラーを演じきっていたからだと思う。また別の役で見てみたいなと思った。
・長妻さん
カテコでのキャラがパッと明るくふわふわした感じだったのでマリウスとの温度差がすごかった。マリウスの破滅的で自暴自棄にも思える刃こぼれした冷たいナイフみたいな印象から一転し、一気に張りつめていたものが解けて愛されキャラだ……と思った。本当にあのマリウスやってた人か???となった。マリウス好きだな……と思ってずっと見ていたのですが、まずカテコで並んだ時に長妻さん身長大きいんだな!?ってびっくりした。なんだがギャップがすごすぎて混乱しまくっていたのであまりまともなことが言えないのですが、この人があの鬼気迫った感じを……?と思った。西田さんに怒られまくった話をしていたけど、いやそれであの仕上がりになるなら本当にすごいわ……褒められるより怒られて伸びる(?)タイプなのかな……と思った。今でもあの人があのマリウスを……?ってなってる。マリウスは非道だけど、憎み切れないし、たった一人のために何もかもを犠牲に出来るある意味健気な献身の人でもあるので影と非道さと哀愁とカヤルに見せる部分と……と何かに振り切りすぎてもマリウスとして成立しなさそうなものを最後まで物語を引っ張りながら綻びを見せずに演じきっておられたのでうっかり推しそうになった。ブロマ買いました。
・猪野さん
たぶん贔屓目がすぎることしか言えない。素手で戦うところすごすぎて何???って思ったし、後にユベールと一緒にカヤルと戦うところ、全員すごすぎてなんや????ってなった。話に入り込み過ぎて完全に「猪野広樹」が出ていることを忘れて見ていて「なんかめっちゃ殺陣上手い人おるな」と思ったら猪野さんで笑った。見に来た目当ての人を忘れるな。しかし本当に猪野さんだけでなく全体的な話として演技に違和感を覚えるところがなく、話に入り込めたのでディスグーニーはすごいという言葉をなるほど……と素直に受け入れられた。これは確かにめちゃめちゃはまるのわかる。何回も見たい。猪野さんの細かい演技が好きで、間違いないな……と思っているからこそ追っているわけですが、デカダンはまじで見に来て良かったなと思った。谷口さんがカテコでおっしゃってた「保証がない中で」という話、その保証を私は猪野さんに求めている(猪野さんなら間違いないものを見せてくれると思っている)ので、今回その期待通りのものが見られたなと思った。後半はちょっと置いていかれたけど……後々噛み締めてそうか、あそこでああなるのも当然か、とちゃんと納得出来るものだった。
・小南さん
ペルソナ5以来(……)に見た。小南さんはあと「いつまでも忘れないよ」でしか知らないのですが、声がいいな……とずっと思いつつ、この声誰かに似てる……と思ったら櫻井孝宏さんと増田俊樹さんだ!と気づいた。全然関係ないがあんステで確か朔間兄をされていたと思うので、小南さんだったらかなり朔間兄だろうな……と思った。そしてそう知ってるわけでもないのに、話し方でかなり印象変わるな……と思った。声を荒げたりするわけでなく、声を張ったりぼそぼそしたりではなく、喋り方だけでここまで印象が変わるのはすごい。殺陣を初めて拝見したのですがやっぱり身のこなしが軽やかだなと思ったので今後楽しみだなーと思った。序盤から話を進めていく役どころで、笑わせながら飄々と振舞うのが良かった。掴みどころがないっていうのは本当にそうだなっていう。最後の方は存在感が薄くなってしまう役だったのが残念だったものの、散り際が格好良かった。
・田中さん
この王妃様めちゃめちゃいいな!?と思いながらずっと見てて、全部終わってからツイート検索とかしていて納得。配信でこういった役どころが久しぶりっておっしゃってたような気がするけど、本当にもうさすがすぎた。これは他の方も含めてそうなんだけど、落ち着いた話し方なのに感情の揺れがわかったり、怒鳴ったりしてないのに鬼気迫る感じが出ていたりして安易じゃないお芝居が自然というかなんというか、一切余計なことを考えさせなくてすっと入ってきた。なんかもう色々すごすぎてディスグーニーすごいな!?しか言えないのですがなんか……なんだ!?語彙力というか言語化が追いついて来ない。もう少し時間がいる。言葉に出来たらまたしれっと追記します。あんまり遊ばない役だったのもあって、もっと他の役が見てみたいと思った……ってそんなんばっかりだけどそうなんですよ。
・中村さん
殺陣がすごいとは聞いていたけどまーじですごすぎて何?????ってなった。左手でくるくる回しながら右手に投げてて、しかもそれをさらっとやってらっしゃって、すごすぎるしかっこよすぎてよく声出さずにあれ見たな自分て思いました。槍持って出てきたときは槍でも!?ってびっくりしてしまった。二人を相手にする場面とか含めて、押してないと駄目なところで説得力がはんぱなかった。カヤルは口数多くないし、それでも色々滲み出てる感じがした。でももう少し色々表に出てくるタイプの役も見てみたい。次は刀剣乱舞出られるみたいなので、そこでまた殺陣が見られるといいなと思った。また新たな楽しみを得てしまった。
・村田さん
メタネタは概ね4人+ユベールが多かったと思うけど、それ以外でももうずっと笑わせてくれるのですごかった。以前ベテランと若手の二人でやる朗読劇に行った時、ベテランの人は上手いので何言っても皆笑えるんだけど若手の人はそうもいかず、もろに力量差が出ていて笑わせるのって難しいんだな……と思った経験があり、ユベールはまじでずっと笑わせてくれるのではちゃめちゃすごいんだな……と思った。ちょっとしたことでもあんなに面白いのは何でなのかわからない。わからないけど面白いのですごい。めちゃめちゃ面白いのに何であんなに面白いのか全然わからないので混乱する。「ふと明かりが灯ると、そこにユベールがいる」のくだり、すごく好きだった。時間稼ぎってはっきり言うのとか、回想シーンとか楽しすぎたのでDVD届いたら延々見てるだろうな。ダナエとの掛け合い、グリーンとのやりとり、思い返しても面白い。どうでもいいけど、作中でちょい上と言及はされるものの4人とそんなに歳変わらないのかなと思ってて、調べて見たら一回り上の方でびっくりした。
・小室さん
シエル、最初はあんまり好きじゃないな……(物騒な物言いする人物が好きでないので)と思ってたのに、終わってみればものすごく好きになってた。献身的な人物に弱いのでテイラーのために、と神に祈るところで泣いてしまった。これまで周りの客が泣いててもお芝居見て泣いたことがなかったので、あっお芝居見て泣ける人間だったんだ……?と新たな自分を発見してしまった。基本的に人の心がないのであまり泣かないし、映画とかでぼろぼろ泣く時は家なので外だと無意識にストッパーかかってるんだけどそれを乗り越えてきたのでシエルの献身がめちゃくちゃ胸に刺さってしまったんだと思う。テイラーを助けに来たところも刺さった。
・谷口さん
もう、何からどう言えばいいんだ!?個人的に何考えてんだかわからなかった、何を思ってあんなことしたんだ???と一回目では全然わからなかったのがシオンとジェンバで、回数を重ねていくごとにもしかしてこういうことか!?と段々理解を深めていったのですが、それが出来るのって演じている人が一切の破綻なく、語られていないことをちゃんと感じさせる、しっかりと一人の人間として成立させているお芝居をされているからこそであって。まずそこに気づかず、何でだ?どうしてだ?何考えてる?というところにばかり気を取られててなかなかその先まで考えが及ばなかったのですが、そのことに気づいた時にとんでもないな!?と思ったしディスグーニーはすごいってこういうことか!?と思った。もう完全にやられた。理解出来ない人間に対しておかしいとか思わずに「何か意図があるはず、それをまだ読み取れていないだけ」って思わせるのは本当にすごい。日常生活で会った人ですら理解出来ないことされると何なんだこいつ……と思うのに、意味の分からない行動しててもいやきっと意図が……とか思わせるのやばくないですか??しかも次はきっとわかる……とか思っちゃってるんですよ。完全に術中にはまってますよ。もう語彙力が完全に置き去りにされた。
カテコで「ビジュアルも初日に出るし、全然どういう話かわからないけど、そういうのがあってもいいと思う」的なことをおっしゃってて、そうだなーと思った。原作ありでもお芝居として楽しみたいので先に予習とかはしていかないタイプなため、楽しみだなーとしか思ってなかったんだけどそうかそういうのって特殊なのか、と思った。
いい加減長くなりすぎるので個別の話はこれまで。思い出したこととか、書いておきたいことがあったら追加します。
全体の話。色々気になるところはあったけど、基本的にはたぶん「これがディスグーニー」で済むことなんだろうなと思う。合う合わないはかなりありそうだけど、私はとりあえずまた機会があれば見たいかなと思った。合わないな~と言い切るほどではないというか、前半本当に楽しくてわくわくして、これからどうなるんだろうと思いながら見ていたので。避けるよりは内に入って楽しみたい。
引っかかるところがないというわけではないけど、繰り返し見たくなるお芝居だった。配信でも繰り返し見て欲しいとおっしゃってて、なるほど繰り返し見る前提だなと感じた。かつて数回見る前提のものを恐ろしくチケットが取れない作品でされて一回でもとれるか怪しいやつでやんなよとキレちらかしてたんだけど、そういうことも今のところないので普通に数回見る楽しみがあっていいな!と思った。遠征やりはじめた時にこれはきりがなくなるな……と関西で公演があるものは関西から出ないようにしたのですが大阪3回では足りず、これは東京行っとくべきだったな……と思った。実行出来るかはわからないけど今後の教訓にします。マチソワきつかったのもあり……。会場の座席が狭いのもあって肩が凝った。
しかし本当にこの話、お芝居上手い人たち集めないと成立しないなと思った。この情報操作ぶり、「何か語られていない意図がある」「まだ感じ取れていないだけで、きっとどこかにヒントがある」と思わせないとこの難しさはただの破綻した話と捉えられかねなさそう。表面上の難しさに気を取られていてそのことに気づかなかったというか、気づかせなかった演者の皆さん本当にすごいな……。
何回言うんだって感じだけどメタネタ楽しかったな……。DVD見たらまた違った感想が出るかもしれないので楽しみです。