True History of the Kelly Gang (輸入盤) 見ました。
いわゆる「義賊」的な部分はスルーされてて、死後他人の口で偶像化されていくさわりが見える構成がナイス
https://www.youtube.com/watch?v=BnJim7OK2kM
ネッド・ケリーが自分の息子のために残した手記、という体裁の小説を原作にしている映画、なのでまずずっとナレーションが早口のマカイ君の声で入ります。
彼の生涯と時代背景については皆さんご存知ですね?という前提ぽいので、Wiki位は読んでおいた方がいいかもしれない。最初見た時だいぶ置いて行かれたので、ちょっといろいろ読んでからもう一度最初から見た。
独立へ向かおうとしている19世紀半ばのオーストラリアで、取り残された形の囚人と流刑囚の子孫の間の子供として、つまり白人の底辺で生まれ育った彼の過酷な生い立ちと、彼らがどんどん追い込まれていく様子(狂気と紙一重に見える)が中心に話が進む感じ。母親との関係が軸になっているのだけれど、濃い愛情というかほとんど呪いのようにも思える…。あの状況では家族が団結しなければ生きていけなかったのだろうけど。
変わった映画だったなぁ、というのは、少年時代のエピソードからかなりセックスのメタファーが倒錯した形で繰り返され、強調されていたこと。
イギリス兵(チャーリー・ハナム)と寝ている(売ってる)母親を目撃する少年、すべてを黙って見ている父親、彼が隠していた赤いドレス。大人になってから売春宿で知り合うイギリス兵(ニコラス・ホルト)は全裸(ソックスガーターのみ!)のまま話を続けるし、そのあと彼らの間には一種微妙な関係が続く。そしてギャング団を作って強盗するとき、彼らはそろって女装してたりする。(あれは史実ではないんだろうと思うんだけど(原作がそうなの?))
ただそういうモチーフが最終的にどこへ向かうのかいまいち意図がわからなかった。絵的に美しい・強烈なカットはたくさんあるんだけど。
強烈なストロボ照明が何度か入ったり、追い詰められてる感の演出なのだと思うのだけど。
もう撮影の時俳優さんたちまでぎりぎり追い詰められてたんじゃないかという空気ばかりがひしひし伝わってきて、まあそういうエピソードも読んでしまっていたし、正直痛々しかった。それが意図なんだろうから成功してると言えばそうかもだけど、これはマカイ君を孫目線で見てしまうゆえなのか何なのか。
R指定なのは暴力表現もだけど大人の男がほぼ全部クズ、という展開のせいもあるのだろうか。最低男やってるニコラス・ホルト、最低なことするほど美しいのすごい。むしろ楽しそうだった。
あ、マカイ君もチャリハナも全裸でしたそういえば。女性は娼婦がたくさん出てくるけどそんな脱いでない。
けっこう1/3位は少年時代の話なんですが、子役のオーランド君がまたいい…。あ、ラッセル・クロウの役ももちろんクズです。歌が聞けます。