「おまじない」には榎戸みを感じたのですが「おやすみ おはよう ありがとう さよなら」というTV版から馴染みの深い言葉も混ぜた並びなのも面白く。そしてポスターにもある「さようなら」とはまた会えるおまじないでもあるという。
旧劇の「現実に帰れ」からの変容にやはり胸打たれるんですよね。『シン・エヴァ』は先日書いたブログでは「現実を生きろ」だと解釈してたけど、「生きよう」のほうがしっくり来る気がしてきてる。そこには庵野さんだっているのだから。
ここでいう現実って別にアニメやエヴァと手を切る前提になっていなくて、だってもはや新海作品や鬼滅が何千万人と動員する世の中なので。アニメやエヴァかもしれないしそうじゃないかもしれないけど、どこかの街角できっと我々はまたすれ違う可能性があるはずだし、目があったときにはまたその次の作品で再会しましょうねという約束でしょう。そりゃ感謝の言葉もこみ上げてくるでしょ。
今作に関しては感想やレビューを読んでいて、特に共感して読んだものがだいたい最後はスタッフへの感謝の言葉で結ばれており、その文章に触れた時点で既に再会した気分になれてしまっているので大変お得ですね。ちなみにそれは極端な例であって、ありがとうと一文字も書かれていない批判文の中でだって我々は再会できたりするので、それはATフィールドの不思議ですね。
おまじないの言葉がテーマ上どんな順番で浮かび上がってきたかについても興味があって。なんとなく「さよなら」というキーワードからの逆算で榎戸さんが「おまじない」要素を持ってきたんじゃないかなという気がしてるけど、そこは全記録全集待ちかな……(その前にパンフを読み込まねば)。