『ラ・ラ・ランド』で驚いたのが、本作の予告編と観客の関係が夢に期待を膨らませる主人公二人とおそらく意図的にリンクしてる所。観客はあの予告編を観て「二人が夢を叶えて突き進む物語なんだろうな」という予感を胸に劇場に向かう。ところが
予告で使われているシーンの半分ぐらいは、本編クライマックスで描かれる「二人の夢が叶うって、こういうことだと思ってたのにな」パートの映像なのだ。
物語冒頭、セブとミアは二人が夢を叶えることで幸せいっぱいのハッピーエンドに到達できると漠然と期待し、前に突き進む。そして努力は報われ、最後には二人とも映画冒頭で誓いあった夢を叶えることができる。しかし「夢を夢見ること」と「夢を叶えること」は現実には全く違うものであり、二人はその過程で、夢と等量以上のかけがえのないものを失っていたのだった。
予告編を観て「きっと最後には二人が夢を叶え、きらびやかなハッピーエンドが待ってるだろう」と期待して物語を追っていた観客は、このクライマックスを目にして主人公二人と同じようにうろたえ、喪失感を噛みしめることになる。
しかしこの痛みを観客がセブ&エマと共有するからこそ、夢を叶えた二人が、戦友に向けたような眼差しとともに、笑顔を交わし合うあのラストが、ここまで強く観客を勇気づけ、胸を射つのだと思う。
・・・という話を踏まえてもう一度予告を観てくだされ。こんな卑怯な仕掛けの予告ってある????
https://youtu.be/0pdqf4P9MB8