「なぜ、サンダーボルト・ロスなのか?」というのは、公開前から疑問だった。ただ懐かしいから、なんて理由で再登場したわけではないでしょう。『シビル・ウォー』で、ロスがソコヴィア協定を推進する責任者として登場したことには大きな意味がある。
初めは猫を被って登場したロスだが、徐々に本性が露わになり、ラフト刑務所のシーンでは軍服に戻って高圧的な態度を見せる。これは確実にハルクを追い回していた頃のロス将軍だ。ロスの性根は何も変わっていないのだ。彼はスーパーヒーローだろうとヴィランだろうと、強大な力を持っている危険なメタヒューマンは監獄に閉じ込めて当然だと思っている(今回で言えばワンダだ)。ソコヴィア協定はロスにしてみれば渡りに船だったろう。今後も理由を見つけては、アベンジャーズを締めつけてくることは目に見えている。
特に今回は幸運なことに不在だったが、ハルクが姿を現した時はどうなるか?ロスは確実に身柄の引き渡しを要求してくるだろう。トニーはそれに抵抗できるのか?友人のバナーを売り渡すのか?もうこの時点で、協定は間違いだとわかる。ロスのような人間は他にもいるだろう。彼らは危険な力を持つ者たちを、管理して自分たちの言いなりにしておきたいのだ。協定はそういう人間に利用されることになる。
トニー自身もクリントたちがラフトに投獄された時点で、もうそれに気づいている(「私が間違っていた」とはっきり認めている)。しかし一度乗った船は簡単には降りられないようだ。コミックではトニーが法を運営する側だったが映画では違う。トニーは今後、自分が主導権を取れない状況で、どう協定とつきあっていくのだろうか。