ジョニー・ウィアー(@JohnnyGWeir)インタビュー
「ユーリ!!!オンアイス」について
http://thegeekiary.com/johnny-weir-watched-yuri-ice/40241
丁寧で楽しいインタビューです。(以下日本語訳)
「ユーリ・オン・アイス」はインターネットで予想を超える大ヒットとなっている。
多大なるプレッシャーと闘いながらも、それぞれに弱点を抱え、且つ、内なる力を秘めた多様なキャラクターが活躍する世界フィギュアのスポーツの世界を描くアニメであり、LGBTラブストーリーの要素を美しく繊細に敬意をもって紡いだ第一期が現在、放映中である。
また、インターネットでファンを獲得するに充分な作品である事は勿論のこと、驚くべきはプロのフィギュアスケーターにも支持されているという事実だ。
ISUグランプリへの旅程中に観始め今や放映中のエピソードは全て観たと語る、3度の全米チャンピオン、2度のオリンピックへの出場、世界選手権銅メダリストに輝く成績を持つジョニー・ウィアーにお話を伺いました。
正直に申し上げて、彼がユーリのファンの世界に加わった事への喜びを隠し切れません:
この作品自体、ジョニー・ウィアー選手の存在に多大な影響を受けており、作品の制作側と彼とのTwitter上での交流はファンにも暖かく迎えられている様です。
何よりこの記事の記者をさせて頂いているエミリーは2000年代よりジョニーの大ファンですし、同じくエンジェル記者もユーリの影響によってジョニーのファンになったので、彼とお話させて頂ける機会を頂けた事を大変光栄に感じています!
エンジェル(以下A): 当初は一日1話しか観ないと決めていらっしゃったものの、結局4日で10話を一気にご覧になられたとの事ですが。
そもそも何故ユーリを観ようと思われたのですが?
また、何故ご自身が決めたルールを曲げてまで10話立て続けに観ようと思われたのですか?
ジョニー(以下JW): Twitterで色んな人がユーリについて呟いているのを見て、作品の存在を知ったんだ。
基本的に流行りには疎くて、特に「最新の流行」となると、いつもなら世間より1年遅れで知るんだけどね。
だけど、エヴゲニヤ・メドヴェージェワ選手がユーリの演じるエロスの解釈が僕に似ているとTweetしていて、ヴィクトルのバラの冠の画像も見て、これは観なくちゃ、と思ったんだ。
1日1話と決めたのだけど、観始めたら止まらなくなってしまって。
フィギュアスケートというおかしな可愛い世界も日本も愛しているし、第1話を観ただけで心が温かくなったんだ。
日本の温泉で過ごす時や、日本的な駅での細やかな描写などが、楽しい思い出を思い起こさせてくれて共感できた。
今は全エピソードを観て、他のユーリのファンと同じようにグランプリファイナルのフリーがどうなってしまうんだろうって悶えてるところだよ。
エミリー(以下E): 山本沙代監督も貴方の「ポーカーフェイス」のパフォーマンスを観てフィギュアスケートの魅力に目覚めたと言明していますし、 あなた自身の存在が本作に多大なる影響を与えている事は明らかですが。
あなた自身が2006年に着た衣装と、2010年に被っていた花冠をモチーフにしたコスチュームを纏ったヴィクトルが世界選手権のトップに立っている描写については、どの様に感じ取られましたか?
JW: この作品は現実とのパラレルワールドの様だよね。
僕自身、勇利くんの様に23才の時にコーチを変えて中国杯とロシア杯に挑んだ。
僕がジュニア・ワールドチャンピオンシップに挑んだのはヴィクトルと同様、ソフィア(ブルガリア)だった。
自分専用に大好きなキャラクターのチェブラーシュカのティッシュケースに入れたティッシュ箱を持ち歩き始めた選手の内の一人でもある。
勿論、トリノの白鳥の衣装やバンクーバーでのバラの冠を、僕を愛してくれているファンの方がオマージュとして描いてくれて、大好きな作品に登場させてくれたという事は、僕の人生の中でも特別な瞬間だったよ。
この作品が僕だけじゃなくて色んな選手、引いてはスケート業界にインスパイアを受けて製作されている事を嬉しく思うんだ。
実際にスケートを滑るあの世界に身を置いた事がある者にしか共感できない、一般のスケートファンでは解らない程の細かい描写が含まれていたりして、物語やアニメーションの動きから、如何にスケート界に敬意を払って製作されているかが解るよ。
宿泊施設がどんな場所かまできちんと描かれてる。
本当に特別な作品と言えるよ。
A: ご自身が体験した世界観を創作作品として観ると言うのはどんな感覚がしますか?
「ユーリ・オン・アイス」は実在スポーツ界の再現をしているように感じられますか?
(ところでバンケットでは実際にあのような事が実際に起きたりしますか?内々に語り草になるようなダンスバトルは実際にあったりするんですか?)
JW: スケート界の世界観を豊かに表現していると思うよ。
製作陣はかなり綿密に下調べをしたのだと思う。
余りにも詳細な描写に正直、バックステージやホテルの部屋や、バンケットに実はこっそり製作陣が張り付いてたんじゃないかって思うくらい。
ただし、バンケットで選手が泥酔するというのは滅多にないかな。
バンケットというのはスケート界関係者全員と過ごす時間だし、コーチや審査員や連盟役員も出席している場だから、酔っ払ってダンスバトルするには全く相応しくない場だよ。
酔っ払いダンスバトルなんてものは、年寄り連中が眠りについた後にやるものさ。
作品の中で色んな場面で、スケート選手本人か近親者しか知らないような出来事の描写があるものだから、「誰が喋ったの?」って言いたくなるくらい妙な気分になる事もあったよ。
それこそかなり熱心なスケートファンですら知りえないような内々の薄暗い秘密まで触れていたりして、驚きが隠せなかったね。
E: 20代の頃にユーリの様な作品があれば世の中はもっと違っていたんじゃないかとTwitterで言及されていましたね。
今あなたのように世界的な選手の多くがこの作品を支持していますが、この作品の中にあるようにLGBTをテーマに、ゲイである事に偏見を持たれずに評価される世界観は、フィギュアスケート界に影響を与えたと思われますか?
JW: いや、僕は自身が現役だった頃について言及していたというよりは、温泉で憧れのロシア人と一緒に入れて良いなぁという意味だったんだけど。笑
スポーツ界でLGBTに対して肯定的な描写をするというのは良い事だと思うよ。
残念ながらスケート界を牛耳ってる役員たちの大多数は保守的で、商業的思考だからね。彼らの多くは芸術やスポーツを愛していても、商業面や権力を重要視しているから。
ユーリ・オン・アイスが年配のビジネスマンたちのゲイ・アスリートたちへの概念を変えられるかどうかは解らないけど、どんなにささやかでも、少しずつ変化への礎になっていくと思いたいな。
僕が競技人生を送ってる頃は、見るからにゲイだったけど、僕が滑っているからという馬鹿げた偏見からではなく、僕が生み出すスケートそのもので純粋に評価されたいと思っていたよ。アメリカ国籍である事や、前衛的である事や、僕がゲイである事は、僕のパフォーマンスに影響を与えてきた。
僕はこのスポーツに人生を捧げてきたし、パフォーマンスのみで評価し、歓迎されたいと思っている。
勇利くんにもその片鱗が見える事に好感をもってるよ。
A: GPFスポーツ・コメンテーターとして、ユーリの世界観に入れるとしたら、今後はどの様な展開を望みますか?
JW: もちろん勇利くんに優勝して貰いたいよ!
ユーリのグランプリファイナルの何が楽しいかって、共感して観れるという事。
ユーリと勇利が好きだから、あの2人に活躍して欲しいと願ってるけど、まだ観てない人も沢山いると思うしネタバレは避けたいから、これ以上は言えないな。
実は前にJJやクリスについてTweetして一部のファンを嫌な気分にさせてしまったんだけどね。
特にクリスが嫌いって言っちゃった時はかなりムッとされたみたい。
この作品は本当に良く描かれていて、自分の競技人生の中で嫌いだった人を思い出させる描写があったりするものだから、苦手なキャラが出てくるのは自然で仕方の無い事だと、僕は思うんだけどね。
クリスにイラつく理由として、氷上でオーガズムを感じている描写もだけど、実在の苦手だったライバルを思い出させる事があるからなんだ。
E:現在はもう引退されている振付師の宮本賢二さんがユーリ・オン・アイスの演技の振り付けをされていますが、貴方自身も彼の振り付けで演技されたことがありますよね。もし貴方がユーリの演目の中でどれかを実際にパフォーマンスするとしたら、誰のどの演目を選ばれますか?また、それは何故ですか?
JW: OP映像だけで賢二先生が製作に噛んでいるのは一目瞭然だったよ。如何にも賢二先生の先生の振り付けという感じだった。彼は素晴らしい人物で、物語にスケート界の秘密を色々と吹き込んでいると思う。
僕にピッタリくるパフォーマンスを選ぶとしたら、断然ユリオの「愛について/アガペー」だね。
僕自身のスタイルにとても合ってる。
ANGEL: 最後に改めて、ユーリという作品についてコメントをお願いします。
JOHNNY: 芸術的に素晴らしいとは言え、正直アニメを観る為に時間を割くことになるとは思いもしなかったよ。
ユーリ・オン・アイスはとても懐かしい感じがするし、想像力もかき立てられるし、この作品が世界的に反響を呼んでいるという事がとても嬉しい。
確かにスケーターたちがこの作品を観てるけど、僕たちはこの競技に関わる事であれば何であれ、支持するつもりだよ。
何より、スケートを知らない人たちがこの作品を観て僕たちの世界を知ってくれているという事が素晴らしいよね。
とても感謝しているし、光栄に思うよ。
ジョニーウィアー選手自身はユーリの12月21日の放映より一足先に、本物の12月18日のNBCスポーツのグランプリファイナルに出場予定です、お楽しみに!