宇喜多の捨て嫁でどうしても自分なりに考察というか考えをまとめておきたい部分がいくつかあったので。それなりにネタバレしてます。
読了してからずっと繰り返しうるさくてすいませんね…
それだけ衝撃を受けた作品だったので許してください
【浦上宗景と岡剛介のキャラクター性】
直家の主君である浦上宗景そして直家の家臣である岡剛介、ともに作中では「てめえの血は何色だー!!!」ってつかみかかりたくなるレベルの血も涙も微塵の良心もないサイコパス野郎として描かれてるんですが、このように書かれてる意図についてかんがえてみました。一家没落の黒幕であり、直家青年期には彼を翻弄し、最終的には敵となる宗景を冷血無慈悲で狂気を抱えた人物として描くことはうなずけるんですが、あえて意図的なものを感じるレベルで家臣(=身内)である岡剛介も同じようなキャラクターとして描かれているのはなぜなのか?歪な環境で育ち悲しみと業を抱えながらも家臣や家族と支え合って快活に生きようとする青年期の直家が自らが生まれ持った運命や宗景によって仕組まれた陰惨な争いの果てに怨嗟と腐臭にまみれた梟雄へと変貌していったことで、そこに至る自分を形成し散々に辛苦を味合わう元凶となった宗景と同じ鬼畜生ような剛介を自分の手足として謀略に利用するまでになった(=宗景の手におえる男ではなくなった)、なってしまったということなのかなと思いました。
宗景の所業に恐怖し、恨み、復讐を誓ううちに自分もまた鬼になってしまった(しかも宗景とは比べ物にならない業を背負った)直家。
直家が合戦の際に般若面をつけるようになったこともこの構図を現したものなのかなと思ったり。
全体のストーリー自体が一つの円環を形成していたんですが、こういった人物の形成過程も円環の図を描いてて思わずうなりました。
【尻はすについて】
直家の患っている「尻はす」は作中では「体の古傷が腫物に転じて、そこから血や膿がにじみ出る業病」とされてます。この古傷って言うのが実は作中で直家自身が付けたものであることが描写されてます。自らが生きる為に(本意でなかったにせよ)家族を犠牲にしてしまったこと忘れないために直家自身が自らの身に刻み付けたものです。直家の周囲の人はその業や死んでいった人たちの恨みの結果「業病・尻はす」を患うことになったと思っているんですが、実は直家の犠牲になった人たちっていうのは作中で直家を赦してるんですよね、ほとんど。もしくは恨むような描写はされていない。背負った業も直家本人というよりは彼がそういう運命の元に生まれているせいで本人の意思に関わらず負わざるを得なかったものなんですよね…。だから、直家を恨んでるのは直家自身で業をあえて背負い込んで手放さないのも(救いを求めない)のも直家自身なんだなぁ、と思うと読んでて涙が止まりませんでした。
まとめるといった割にはあんまりまとまってないですが、大体こんなことを考えながら読んでました。